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現場から記者リポート:「アーク・エンジェルズ」問題 住民と真っ向対立 /滋賀

 ◇アーク側、犬40匹きょう持ち込み--「話し合い無駄」、地元「許されぬ」

 大阪市を拠点に犬の保護活動に取り組んでいる「アーク・エンジェルズ」が高島市今津町の新施設に犬を持ち込もうとしている問題で、アークと地元の酒波、伊井両区の住民らの2回目の話し合いが4日夜、酒波区の集会所で開かれた。住民らが犬の持ち込みをやめるように求めたが、アークの林俊彦代表はこれ以上の協議の継続を拒否。皮膚病の「疥癬(かいせん)」に感染し、完治したと主張する犬を含めて約40匹を6日に持ち込む考えを明らかにした。問題の経緯と協議内容を報告する。【近藤修史】

 ◆波乱の8カ月◆

 この問題は今年2月、アークが同町にあった犬の訓練施設を買収、改修しようと、市に対し、水道の名義変更を申請したために発覚した。アークの当初の計画によると、旧施設を改修するなどして約2100平方メートルの敷地に犬舎(最大約300匹収容)やドッグランなどを備えた「シェルター」を造る予定だった。しかし、4月に住民らが「進出反対期成同盟」を立ち上げ、市議会も6月に不適切な動物の飼育や不法投棄を規制する「未来へ誇れる環境保全条例」を制定した。

 市の仲介で先月19日、アークと地元住民が初めて協議。アーク側は「疥癬に感染した犬を完治させて持ち込む」「ふん尿は水路に捨てない。住民には極力、迷惑をかけない」などと説明した。話し合いは3時間以上に及び、市が「後日、話し合いの場を設けるので、それまで犬を持ち込まないように」と提案し、林代表が受け入れていた。

 ◆突然の持ち込み宣言◆

 約2週間ぶりに開かれた4日の話し合いでは、アーク側が双方の代表者同士の話し合いを希望した。前回は200人近い住民が出席して次々に意見を述べ、騒然となったためだ。今回のアーク側の提案を住民側が受け入れ、発言者は期成同盟の役員約20人に絞り、アーク側は林代表ら関係者4人が出席した。ただ、地元選出の県議や市議、住民らも駆け付け、激しいやりとりを見守った。

 張り詰めた空気の中、酒波区の落合常雄区長は「(進出反対の)住民の思いを伝えてきたが、それでも強行して犬を連れて来るつもりなのか」と質問。林代表は「住民の意見を無視する考えは持っていない」としたが、住民の同意が得られた後、犬を持って来る可能性について「それは難しい。私にも事情があり、タイムリミットがある」と厳しい口調で話した。

 海東英和市長が市のホームページで公開しているブログで今月2日、アークの進出計画に明確に反対する姿勢を表明したことについて、林代表は「市長は、地元だけでなく、市民になる私たちの意見も聞いて、声明を発表する方が賢明だと思う」と不快感を示した。

 男性が「明後日(6日)に犬を連れて来るという情報がある」と指摘すると、「その予定です」と明言。事前の説明なしに突然、犬の持ち込みを明らかにしたことに対し、男性が「何も問題が解決していない。この場が話し合いの場になっておらず、許されない」と強く抗議した。

 ◆風評被害の懸念◆

 アークの進出に伴って農作物の風評被害が心配されていることについては、林代表は「一般論だが、動物に優しい気持ちを持っている農家が作る米は、きっと優しい人が作っているという(プラスの)イメージが出ると思いますよ」と述べた。さらに「私たちの活動を実際に見ていただきたい。改善すべき所があれば、改善する」と住民らの理解を求めた。だが、住民側が「信用できない」と突き放すと、林代表は「信用されないのであれば、これ以上話し合いを続けても無駄」とあしらい、対話の継続を拒否する姿勢を示した。

 協議は2時間以上に及び、市産業循環政策部の中島香部長が「お互いが理解し合おうとしている最中の犬の持ち込みは止めるべき」と主張。林代表は即答を避け、6日に持ち込む方針は撤回しなかった。

 閉会後、林代表は取材に対し、「今日はノーコメント」と、いらだった様子で答えた。

毎日新聞 2007年10月6日

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