また!毒グモのセアカゴケグモ、人家周辺で被害急増2007年10月06日10時41分 海外から運ばれてきた毒グモのセアカゴケグモが大阪を中心に定着し、人の生活圏に活動範囲を広げている。今年は、庭先で人がかまれるケースが相次いだほか、大阪府豊中市の小中学校では児童生徒が使う校庭でも発見された。駆除すべき特定外来生物種に指定されているものの、分布域が広がるのを食い止める有効な手段はなく、環境省も自治体も手をこまぬいているのが実情だ。
大阪府環境衛生課によると今年、庭先でサンダルを履く際などにかまれたケースが5件あり、入院した被害者もいた。当初の港湾地域や駐輪場などではなく、人が暮らす場所で被害が出ているのが特徴だ。 セアカゴケグモは、95年11月に大阪府高石市の工場敷地で初めて発見され、その後、05年までに人がかまれた事故は計4件。ところが昨年から庭先などでかまれるケースが増え、同年だけで計6件と変化が起きている。 今年は庭先など5件の被害のほか、学校内でも見つかった。豊中市立第二中学で9月26日、硬式テニス部員が練習中にフェンスの支柱にいるのを発見。駆けつけた教頭が割りばしで捕まえ、保健所がセアカゴケグモと確認した。同校は、生徒や保護者に注意を促し、校内の点検を実施、校庭の側溝で2匹見つけて駆除した。同市立豊島小学校でも見つかっている。 大阪府環境衛生課の調べでは、大阪南部の港湾地域から分布が拡大、昨年までに府下の40市町で確認されている。多産で一度に数百の卵を産むうえ、原産地のオーストラリアと違って天敵がおらず、日本は個体数を増やすのに適している。冬の野外でも成虫が確認されており、「越冬はほぼ間違いない」と同課。環境省は、兵庫、奈良、和歌山、三重の各県でも定着したと認めている。 関西クモ研究会員の清水裕行さん(58)は「都市部では、自動販売機の裏など人工的な暖かい場所も多く、寒い冬でも越冬は難しくない。建築資材にくっついたり車の泥よけに巣を作ったりして遠くまで移動するようだ。食い止めるのは難しく、今後も確実に分布を広げていく」と話す。 セアカゴケグモは、05年施行の外来生物法で人に危害を加えるとして防除すべき特定外来生物に指定された。だが、環境省は防除計画を作る予定はなく「国立公園の希少種などを脅かす外来種を除くことが先。防除は自治体で」とつれない。 自治体の対策といっても、現状では注意喚起のポスターを配布する程度。ある担当者は「どこにどれだけいるかよくわからないクモをどう防除するのか。国が方針を決めて予算を出すべきだ」と不満を漏らしている。 ◇ 〈キーワード:セアカゴケグモ〉メスの成虫は体長約1センチ、背中の赤い模様が特徴。乳白色の卵のう内に数百個の卵を産む。かまれると全身の痛みや発汗、吐き気などの症状がでる神経毒を持つ。大阪府などでは抗毒素血清を常備しているが、幸い重症者が出ておらず、使用したことはない。オスはやや小型で毒を持たない。輸入される材木に潜んできたらしい。 PR情報この記事の関連情報社会
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