タクシー運転手ヤミ金被害続発──「必ず解決、相談を」支援団体、警察も摘発強化2007/10/05配信
「生活苦で安易に借りてしまった。知っているだけで6、7人の同僚がヤミ金に手を出している」。こう話す大阪市のタクシー会社に勤務する男性運転手(58)は8月、ヤミ金の返済に困って、いちょうの会に駆け込んだ。今では取り立ても止まり、過払い金の一部も取り返した。 25年間、個人で建築業を営んだが、ピーク時800万円程度あった年収が200万円を割り込み、3年前にタクシー業界に転職。1カ月後、慣れない仕事のストレスで心筋梗塞(こうそく)になり、退院後の生活苦で5万円を借りたのが最初だった。複数のヤミ金で借金と返済を繰り返し、返済額は週に7万円まで膨れてしまった。 タクシーヤミ金は、駅や繁華街で客待ちをする運転手に連絡先を書いたビラを配って勧誘し、乗務員証や免許証を示すだけで数万円を貸し出す。いちょうの会は大阪府内で50以上の業者を確認しているが、「複数の運転手同士の連帯保証で貸し出して相互監視させるため、被害が表面化しにくい」という。 大阪府警は9月26日、大阪市のタクシーヤミ金業者4人を出資法違反容疑で逮捕した。容疑者は「タクシー運転手は日銭が入るので回収しやすい」と供述した。過当競争のあおりで経済苦に陥る運転手も多く、捜査幹部は「運転手仲間のツテで被害が広がっている」と分析。今後も摘発を進める考えという。 いちょうの会は7月、大阪のタクシー会社の組合が加盟する全国自動車交通労働組合(全自交)大阪地方連合会に協力を要請。9月4日、組合幹部が集まる勉強会でヤミ金の実態報告を行い、「ヤミ金問題は必ず解決できる」と訴えた。 連合会側は各事業所でいちょうの会のパンフレットを配布。森田貫二執行委員長(51)は「タクシー運転手の生活は苦しくなる一方だ。業界全体の問題として、会と協力して相談しやすい雰囲気づくりと被害の防止策を検討したい」と話す。
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