ここから本文エリア 白糸の滝 宗教法人が隣接地取得2007年10月03日
展望台修復、暗礁に 周辺住民 大規模開発を警戒 富士宮市にある国の名勝・天然記念物「白糸の滝」入り口にある観光施設跡地と近くの広大な山林が、京都市の宗教法人に用地取得されたことが分かった。富士宮市が今年度に計画していた跡地内にある滝の展望台の修復作業の見通しが立たなくなるなど、影響が出ている。周辺住民は4日にも、「大規模開発を認めないで」と環境省、市などに要望書を提出する予定だ。 宗教法人が取得したのは、滝の西側入り口にあり、8年前に閉鎖された「富士急白糸滝レストセンター」跡地(約1万9800平方メートル)。レストランなどの建物が金網で囲われ、駐車場は「進入禁止」になっている。 同市は、これまで敷地を所有していた富士急行(本社・山梨県富士吉田市)に「跡地の再整備」を求めてきた。だが、市の調査で、この跡地が6月に神奈川県内の不動産会社に売却され、その直後に、京都市の宗教法人「念仏宗無量寿寺」が取得していたことが分かった。 富士宮市による市議会での説明によると、跡地を管理している建設会社の担当者が8月に市役所を訪れ、「跡地に写経場、レストラン、庭園などを整備する」と口頭で説明した。宗教法人からは現在まで連絡がないという。 滝の周辺は、国立公園内の「第二種特別地域」に指定されており、建設工事などには環境省の許可が必要。市は、同省と協議しながら、宗教法人側の今後の動きを見守っている。 この跡地内には、富士山と滝を一緒に撮影できる展望台がある。写真愛好家の人気を集めていたが、下部のがけ崩れのため、06年暮れに閉鎖された。同市は今年度予算で修復事業費約1500万円を計上したが、「着工の見通しは立たなくなった」(商工観光課)という。近くの自営業者(66)は「観光客ががっかりして帰っていく。世界遺産の指定を目指しているのに、いつまでも鉄パイプで閉鎖しておいていいものか」と嘆く。 市の調査によると、この宗教法人は、滝から約2キロ西方の山林(約98万平方メートル)も、2月に取得していたことが分かった。数十年前、ゴルフ場開発予定地として業者が買収し、着工されないまま転売を繰り返されたとみられる。 地元の区長の1人は「用地取得した宗教法人の実態も分からない。どのように利用するのか説明もない」と不安を口にする。 取得した用地の利用などについて、無量寿寺は「環境にふさわしいものを考えており、現在、調査検討中です。構想が固まり次第、関係の方々にご説明、ご相談に上がります」とコメントした。 マイタウン静岡
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