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看護必要度の指標見直しへ
中医協基本問題小委、来年度改定で7対1に導入
一般病棟の治療を考慮
2007.10.5

 厚生労働省は3日の中医協・診療報酬基本問題小委員会(委員長=土田武史・早稲田大商学部教授)に、7対1入院基本料への看護必要度の導入に向けて実施した患者状態像調査の結果を提示した。7対1、10対1、13対1のそれぞれの算定病院について入院患者の状態の違いを明らかにすることで、看護必要度を設定する際の資料とする狙いがあったが、調査結果では3種類の算定病院の患者状態に明確な差異は認められなかった。このため、さらに詳細な調査を実施した上で、急性期病院の一般病棟で実施されている治療や処置を考慮した指標を構築し直すことになった。

 土田委員長は席上、「今回の患者状態像調査では、明確な差異が認められなかった。治療や処置のとらえ方が不十分だったのではないか。看護必要度をもっと厳密にみる必要がある」と述べ、きめ細かい調査をあらためて行った上で、議論を続けたいとの考えを示した。

 厚労省の調査は、7対1、10対1、13対1を届け出ている病院を対象に、ハイケアユニット入院医療管理料で用いられている評価票を使用して、入院患者の看護必要度を調べた。さらに7対1と10対1病院に対しては看護提供のタイムスタディーも行った。

 ハイケアユニットで用いられている評価票は、治療・医学的処置を把握するA得点と、患者のADL状況や療養上の世話に関するB得点で構成。A得点は「創傷処置」「蘇生術の施行」などを「あり」「なし」で、B得点は「寝返り」「起き上がり」などを「できる」「できない」などで評価する。

 「あり=1点」「なし=0点」として、A得点が3点以上か、B得点が7点以上の患者を対象患者と規定。対象患者が治療室に8割以上いることが算定要件となっている。

● 患者状態に差異なし

 この日、厚労省が提示した調査結果によると、治療・処置を把握するA得点の平均点は7対1病院が1.70、10対1病院が1.66、13対1病院が1.53と、ほとんど差がなかった。

 ADL状況などをみるB得点に至っては、7対1病院の平均が5.24、10対1病院が6.17、13対1病院が7.12と、むしろ看護配置が低くなるほど点数が高いという「逆転現象」が起きていた。

 もっとも、ハイケアユニットの調査票は、ICUでの治療直後の患者を想定しており、急性期病院の一般病棟で通常実施されている手術後の管理や放射線治療や、がんの化学療法などに関する治療や処置の項目がない。  このため厚労省は、一般病棟に入院する患者の看護必要度を十分に評価しきれなかったのではないかと分析している。

● 小児入院管理料を充実評価へ

 一方、厚労省は小児医療に対して、多くの常勤医師を配置している医療機関の勤務医の待遇改善を図ることを念頭に、「小児入院医療管理料」で設定されている施設基準以上の医師数を確保している医療機関の評価を引き上げることを検討する方向性を示した。

 小児医療をめぐっては、2000年度改定で、15歳未満を対象に小児入院医療管理料が新設された。当初は1日2100点だったが、02年度改定では、3段階に分類し、管理料1が3000点、管理料2が2600点、管理料3が2100点とした。06年度改定では、管理料1を600点アップし3600点に、管理料2を400点引き上げ3000点とした。

 管理料1は、より重症な患者に対する治療を目的としているため、「常勤医師5人以上」「看護師配置7対1以上」という高いハードルを設けている。しかし、医療上の必要から小児科の中核的な病院では、常勤医師を10人以上配置しているケースもある。

 このため日本小児科学会などは08年度改定に向けて、<1>小児科医9人以上<2>看護師常時5対1以上―などを要件に、新しい点数を設けるべきと要望している。

● 中医協薬価専門部会 小児・市場性加算見直しへ

 中医協薬価専門部会(部会長=遠藤久夫・学習院大教授)は3日、次期薬価制度改革の主要検討事項のうち小児加算や市場性加算について議論した。その結果、小児医薬品や希少疾病用医薬品の開発にインセンティブを与える方向で、小児加算や市場性加算の要件や加算率を検討することでおおむね意見が一致した。

 現行の薬価制度では、一定の条件のもとで小児の効能・効果や用法・用量を含む場合は「小児加算」(加算率=3〜10%)が適用される。一方、希少疾病用医薬品は「市場性加算I」(10%)が、また市場規模が小さい医薬品は「市場性加算II」(3%)が付く。

 薬価算定組織や日本製薬団体連合会は、こうした薬の開発を促進するためには、加算率の引き上げや要件の見直しが必要と訴えている。

 この日の部会に厚生労働省は、小児加算や市場性加算のルールや実績に関する資料を提示。小児加算が新設された06年4月〜今年9月までに収載された新薬のうち、加算の適用は2品目しかなく、薬価の加算分も10〜200円程度に止まっていることを明らかにした。

 また薬理作用類似薬があるため加算が適用されなかったものが2品目あったことや、05年4月以降に小児適応を効能追加したものが10品目あったことも紹介した。

 市場性加算では、02年4月から今年9月までに収載された新薬のうち、加算がついたものが5品目、薬理作用類似薬があるため加算がつかなかったものが11品目あったことを示した。



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