janjanロゴマーク
記者ID: パスワード:
市民記者になる情報を送る


暮らし  
TOP > 暮らし
東京 建築 NA_テーマ2
マンション販売トラブルで「お詫び」 東急リバブル・東急不動産
2007/10/04

 東急リバブル株式会社(袖山靖雄社長)及び東急不動産株式会社(植木正威社長)が自社ウェブサイト上に「お詫び」を掲載した。掲載内容は以下の通りである。

◇ ◇ ◇

 弊社が平成15年に江東区内で販売代理した新築マンションにつきまして、北側隣地の建築計画に関する説明不足の為にご購入者にご迷惑をおかけした件がございました。
本件を踏まえまして、不動産取引における紛争の未然防止を再徹底し、お客様へのより一層の質の高いサービスを提供していけるよう、努力して行く所存でございます。
http://www.livable.co.jp/

お詫び
 弊社が平成15年に江東区内で販売致しましたマンションにおきまして、北側隣地の建築計画に関する説明不足の為にご購入者にご迷惑をおかけした件がございました。本件を踏まえまして社内体制を整え、再発防止及びお客様へのより一層のサービス提供を行なってまいる所存でございます。
http://www.tokyu-land.co.jp/

◇ ◇ ◇

 東急不動産(販売代理:東急リバブル)が新築マンション「アルス」について、隣地がアルス竣工後すぐに建て替えられること及び作業所で騒音が発生することを隠して販売するという騙し売りをしたため、消費者契約法第4条第2項(不利益事実不告知)に基づき、売買契約が取り消された問題である。購入者が売買契約を取り消したにもかかわらず、東急側が売買代金の返還を拒否したため訴訟となり、東京地裁平成18年8月30日判決は東急不動産に売買代金全額2870万円の返還を命じた(平成17年(ワ)第3018号)。

 この訴訟については記事「不動産トラブルと消費者契約法」参照のこと。

 不動産の購入は一生に一度あるかないかの買い物といわれる。その一生に一度あるかないかの買い物において不利益事実を故意に説明せず、問題物件を購入してしまった被害者の損害に対し、「ご迷惑をおかけした」とは軽過ぎる文言である。騙し売りが発覚したのは2004年8月であったが、東急リバブル・東急不動産間でのたらい回し、担当者の頻繁な交代、果てはアルス建設に全く関係のない無責任な人物を担当者に名乗らせるなど、東急リバブル・東急不動産は不誠実な対応を繰り返し、話し合いによる任意的解決を不可能にする結果となった。

 2005年2月の提訴後も東急不動産は三名いる訴訟代理人のうちの一人の個人的な都合により当日になって原告本人尋問を延期させるなど、時間稼ぎに終始した。東京高裁で訴訟上の和解が成立したが、東急不動産が和解調書の金銭支払い義務を履行したのは和解調書で定められた2007年3月から3ヶ月遅れた同年6月28日であった。マンション販売時の不利益事実不告知のみならず、その後の不誠実な対応が「迷惑」を増大させたことについて東急リバブル・東急不動産は何らの反省も見られない。

 しかも東急リバブル・東急不動産とも被害者の損害回復については言及せず、紛争の未然防止・再発防止ともっともらしく謳いあげているが、具体的な内容が記載されていないため、論評には値しない。

 注目すべきはウェブサイトにおける上記文章の掲載位置である。東急リバブル・東急不動産とも会社からの発表内容を掲載するニュースリリース欄を設けているが、両者とも上記文章を別枠に表示させている。ニュースリリースならば過去の記事もバックナンバーの形で公開されたままになるが、上記文章は削除されたら、どこにも残らないものと思われる。ほとぼりが冷めたら跡形もなく削除してしまうことが予想される。

 また、東急不動産のウェブサイトではニュースリリースをRSS配信しているが、別枠ならばRSS配信の対象にならない。騙し売りトラブルを反省材料として記録にとどめようという姿勢とは対極である。お詫び文章の出し方一つを見ても、企業の姿勢を判断できる。

(林田力)



















ご意見板

この記事についてのご意見をお送りください。
(書込みには会員IDとパスワードが必要です。)

 [新規書込み]  [一覧表示] [ツリー表示]


[30314] 御指摘ごもっとも
名前:伊吹春夫
日時:2007/10/04 16:46


宅建業法の精神を大手不動産業会に遵守せよ!。
という画期的な和解です。
それに対する不動産会社の対応は残念です。


多くの市民が注目し良心的な業者を育てましょう。

[返信する]




JanJanに掲載の記事・写真の無断転載を禁じます。全ての内容は著作権法並びに国際条約により保護されています。
JanJanとはQ&A報奨制度スタッフ募集個人情報保護方針編集部へのメッセージ会社概要

Copyright © 2002-2007 JAN JAN. All rights reserved. No reproduction or republication without written permission.