沖縄戦で旧日本軍が「集団自決」を強制したとの記述を削除した教科書検定に、沖縄県民らの反発が強まっている問題で、町村信孝官房長官は1日午後の記者会見で、県民感情に理解を示した上で「(教科書の記述訂正・修正について)関係者の工夫と努力と知恵があり得るのかもしれない」との認識を示した。これを受け、渡海紀三朗文部科学相も省内に対応を指示した。
与党幹部も「教科書会社の『訂正申請』を認める方法が有力」としており、今後、教科書会社側の自主的な申請という形を取り、何らかの表現で記述が復活する可能性が出てきた。
検定意見による修正でいったん合格した教科書の記述を戻せば、事実上の意見撤回となり、極めて異例。
渡海文科相は同日夕、記者団に「政治が検定に介入してはならないが、県民の重い気持ちをしっかり受け止めることも大事。何をすべきか、何ができるかを考えなければいけない」と述べた。
今春の検定で記述を削除・修正して合格した教科書会社の中には、執筆者の意向を尊重して文科省への訂正申請を検討する動きもあり、政府が柔軟な姿勢を示したことで、今後こうした動きが強まりそうだ。