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郵政民営化:金融界は郵政グループに警戒感

 郵政民営化で誕生した「民間企業」としての日本郵政グループを、金融界や物流業界は複雑な思いで見つめている。金融業界は政府の信用力を背景とした新規事業拡大に警戒感を示す一方、物流業界は新たな敵の出方を冷静にうかがっている。

 全国地方銀行協会の小川是会長(横浜銀行頭取)は「リテール運用の拡大ではなく、機関投資家型の金融機関を目指すことが現実的な選択肢だ」とコメント。新規業務進出への意欲を隠さない「ゆうちょ銀行」への警戒感をにじませた。

 ゆうちょ銀は既に、住宅ローン商品の委託販売でスルガ銀行と提携する方針を明らかにしている。さらに自前の住宅ローンや企業向け貸し出しに「ゆうちょ銀」が本格進出すれば、金利の引き下げ競争などを通じて金融機関の体力を奪いかねない。

 一方、首都圏に本支店を持つ横浜銀、千葉銀、東京都民銀の3行は1日、ATM(現金自動受払機)の相互利用で10月29日から提携する、と発表した。他行のATMで預金の引き落としをする場合にかかる手数料を無料化するなどし、顧客の利便性を高める。地域金融機関同士が連携することでゆうちょ銀行に対抗する。

 また、全国銀行協会の奥正之会長(三井住友銀行頭取)も「市場への適切かつスムーズな融合を実現することを期待する」と談話を出した。メガバンクをしのぐ預金量を誇り、大量の国債を保有するゆうちょ銀やかんぽ生命保険が運用を誤れば、債券や短期金融市場のかく乱材料になりかねないとして、運用動向も注視している。【山本明彦】

毎日新聞 2007年10月1日 20時58分

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