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【社会】

郵政民営化で簡易局4分の1閉鎖 地方の利用者不便に

2007年9月23日 朝刊

 十月一日にスタートする郵政民営化を前に、日本郵政公社が個人など民間に運営委託している簡易郵便局(簡易局)の閉鎖が相次ぎ、東海支社管内(愛知、岐阜、三重、静岡県)で約四分の一が営業を停止していることが分かった。業務の複雑化など民営化への不安から、契約を更新しない受託者が増えているためだ。簡易局は山間部など都市部から離れた場所に多く、地方の利用者は不便を強いられそうだ。

 東海四県の郵便局数は二千四百五十八局で、うち簡易局は四百十一局。このうち今月末に営業をやめる十二局を含めると、民営化される十月には百四局が閉鎖となる。全国的にも同じ傾向で、閉鎖した局は八月末現在で三百十局。営業している局は、過去最低の三千九百八十九局まで落ち込んでいる。

 東海四県では今年だけで閉鎖局が七十四局に上る。岐阜県揖斐川町や三重県明和町、熊野市で二カ所ずつが営業をやめるなど、都市部から離れた地域での閉鎖が目立っている。

 東海支社などによると、郵便振替などができる端末が導入され、銀行と同等の会計業務が必要になるなど業務の負担が増え、委託先の農協が契約更新に二の足を踏んだり、高齢化が進む個人の受託者が、民営化で激しい競争にさらされることに強い不安を感じていることなどが原因という。

 最近、契約を解約した愛知県内の六十代の元局長は「ただでさえ収入が減っているのに、民間企業になれば、営業成果も求められる。新しいことも覚えないといけないし、負担も増えるので民営化を機に身を引くことにした」と話している。

 こうした状況に歯止めをかけようと、日本郵政公社は今年一月から基本手数料を約五割アップ。さらに簡易局は閉鎖後、一年が経過した段階で、地域の了解を得て廃止してきたが、今年五月からは後継の募集を無期限で続けることにし、受託者の確保に全力を挙げているが、十分な成果は挙げられていない。

 日本郵政公社東海支社の田中学・民営化対応室担当課長は「簡易局は郵便局網のネットワーク維持には欠かせない。何とか引き受け手を確保したい」と話している。

 【簡易郵便局】 日本郵政公社が地方公共団体や協同組合、個人などに窓口業務を委託している郵便局。主に郵便や郵便振替の業務を行っている。山間地など地方に多く、普通、特定郵便局を含めた全郵便局の18%近くを占める。普通、特定郵便局長は公務員なのに対し、簡易局長はみなし公務員。公社化後の2003年11月、手数料が削減され、今年1月には引き上げられたが、郵便物を扱うコンビニなどが増えたこともあり、収入は減少傾向にある。

 

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