ミャンマー:治安部隊、無差別に発砲 日本人含む9人死亡
ミャンマー最大都市ヤンゴンで27日、治安部隊から逃げ惑う人々=ロイター
 【バンコク井田純】治安部隊のデモ鎮圧で死傷者が出ているミャンマーの最大都市ヤンゴンで27日、数千人の市民が各所で反軍政デモを決行、治安部隊はデモに対し無差別に発砲した。ミャンマー国営テレビは同日夜、デモ鎮圧で日本人を含む9人が死亡、11人が負傷したと報じた。ヤンゴン総合病院には負傷した欧米人とみられる外国人3人が搬送され、治療を受けている。死傷者は多数に上る模様だ。

 反軍政デモは連続10日目。国際社会の非難が強まる中、軍事政権は強硬措置をエスカレートさせており、僧侶や市民の犠牲拡大が懸念される。

 現地からの情報によると、治安部隊約200人は、デモ隊にゆっくりと近づき、無差別に発砲を始めた。群衆は逃げまどったという。

 また、AFP通信が別の目撃者の話として伝えたところによると、治安部隊がデモ隊に対し、「10分以内に解散しなければ非常手段を取る」と警告したうえ発砲した。逃げ遅れた市民ら少なくとも100人が軍用トラックで連行された。

 抗議デモは、治安部隊が鉄条網でバリケードを設営し、市内の要所を封鎖する厳戒態勢の中、ヤンゴンの複数の場所で発生した。ヤンゴン中央駅など市中心部付近では銃声が響いた。催涙弾が発射され、直後に市民が倒れたとの情報もある。

 軍事政権はこの前日、夜間外出禁止令を午後6時から午前6時までに延長。しかし強硬姿勢に対する市民の怒りはさらに高まり、ヤンゴンでは27日夜になっても市内各所で抗議の声が途絶えず、治安部隊による散発的な銃声が続いた。

 軍事政権は26日の流血鎮圧以降、民主化勢力への対決姿勢をさらに強めている。アウンサンスーチー書記長が率いる国民民主連盟(NLD)によると、NLDスポークスマンのミンテイン氏ら幹部2人が連行された。

 今回の事態に関連し、軍事政権は27日の国営紙で「海外メディアが、事実をゆがめた報道によって抗議活動を扇動している」と非難した。

 ミャンマー最大の反政府武装勢力、カレン民族同盟(KNU)は同日、反軍政デモを支持し、治安部隊による弾圧を非難する声明を出した。

 一方、タイとの国境地帯からの情報によると、タイ国内のミャンマー人僧侶グループ約1500人が、反軍政デモに参加するため国境を越えてヤンゴンに向かったという。

毎日新聞 2007年9月27日 21時05分 (最終更新時間 9月28日 1時20分)
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