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軍事政権、群集に発砲 長井さんら9人死亡 ミャンマー

2007年09月28日03時00分

 ミャンマー(ビルマ)の軍事政権は27日、最大都市ヤンゴンで、反政府デモのために集まった市民らに発砲した。ミャンマーの国営テレビは同日夜、日本人を含む9人の市民が死亡し、11人がけがをしたと伝えた。実際にはさらに多数の死傷者が出たとみられる。軍政は26日から僧侶や市民らのデモへの強硬策に踏み切り、同日だけで僧侶ら5人が死亡したとの情報がある。相次ぐ流血の事態に、国内外からの批判が一段と高まっている。

 ヤンゴンではこの日午後、中心部のスーレー・パゴダ(仏塔)の周辺に約1万人が集まり、武装した治安部隊とにらみ合いになった。解散を命じる治安部隊に群衆が抵抗すると、治安部隊は催涙ガスを発射し、威嚇発砲を繰り返した。

 目撃者によると、治安部隊はその後、市民らに「10分以内に解散しなければ最後の手段に出る」と警告。最後まで残った市民に発砲し、逃げ遅れた100人以上を拘束した。

 ヤンゴンでは、このほか数千人規模のデモが数カ所で起き、治安部隊は催涙ガスや威嚇発砲で対抗。一部ではデモ隊と親軍政組織との衝突も起きた模様だ。

 国営テレビは、デモ隊が投石などを繰り返したうえ、治安部隊の武器を奪おうとしたため「やむなく撃った」と群衆への発砲を正当化。その一方で、自宅軟禁中の民主化運動指導者アウン・サン・スー・チーさんが率いる国民民主連盟(NLD)が「市民に金銭を渡してデモに参加させている」と非難した。

 軍政はこの日未明、一連のデモの中心を担ってきた僧侶らのデモ参加を封じるため、ヤンゴンの僧院を急襲。外交筋によると、少なくとも8カ所で500人を超える僧侶が連行された。NLDの幹部らも拘束された。

 軍政の弾圧を受け、デモへの僧侶らの参加は少数にとどまり、全体の参加者もここ数日より減少した。しかし、多くの商店が混乱を恐れて終日店を閉じるなど、街は緊迫した雰囲気に包まれている。

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