障害者権利条約:政府が署名決定 国内法整備必要に
政府は28日午前の閣議で、障害者が就職や教育で受ける差別を撤廃し、社会参加を促すことを目的とした「障害者の権利条約」に署名することを決定した。訪米中の高村正彦外相が同日深夜(日本時間)ニューヨークの国連本部で署名する。今後、同条約の早期批准に向け、障害者差別を禁じるさまざまな国内法整備を求められる。 障害者を対象にした初の国際条約で、昨年12月の国連総会で採択された。全50条で(1)障害者の市民的・政治的権利(2)教育を受ける権利(3)労働・雇用の権利−−などを保障し、障害に基づく差別を禁止。障害者の就職や教育に際し、過度な負担がかからないよう「合理的配慮」を行うよう、事業者や学校側に義務づけている。実施状況を監視するための監視機関の設置も盛り込まれている。 条約の批准には、条約に則った国内法の整備が不可欠。例えば、教育制度では障害のある児童は障害児学級に入れるなどの「分離教育」を続けてきたが、制度の転換が必要となる。また、現行の障害者基本法は「差別禁止」をうたっているものの救済規定がないため、同法の改正も大きな議論となりそうだ。 条約は20カ国が批准した時点で発効されるが、28日までに批准したのは5カ国。外務省は「障害者の人権を完全に確立するために意義のある条約だ。国内法を整備し、早急に批准することを目指したい」としている。【小山由宇】 毎日新聞 2007年9月28日 12時16分
|