北部農100人超参加 生徒が力
【名護】「次世代に真実を伝えたい」「生徒が信用できる教科書であってほしい」―。北部農林高校の生徒会が、二十九日に開かれる「教科書検定意見撤回を求める県民大会」に向けて、同校生徒の参加を呼び掛けている。今週から活動を始め、すでに四十人近くの生徒が参加の意思を見せ、教職員も家族を含めて六十人以上が参加を予定している。実際に教科書を使う学校現場から、教科書書き換えに異議を唱える声が広がっている。
高校生だから
同校で二十、二十一日に開かれた校内リーダー研修で、教科書検定問題が話題に上り、生徒会から大会参加への声が上がった。生徒会長の島袋奈津子さん(三年)は「高校生だからこそできることがあるはず。学生は教科書は信頼できると思って学んでいるが、このままでは信じられなくなる。私たちに真実を教えてほしい」と訴える。
ポスター制作
生徒会では、二十五日からポスターを各クラスに張り、校内放送で生徒の参加を呼び掛けている。副会長の平安山歩さん(三年)は「少しずつだけど、ほかの生徒たちにもこの問題への関心が高まっている」と、問題意識の広がりを実感している。
当日は、学校の大型バスに乗り込み会場に駆けつける。顧問の金城育子教諭は「生徒たちが自主的に活動したことは意義深い。高校生でも、自分たちが感じたことや表現したいことを、行動で示せるという自信になる」と話し、生徒たちの活動に頼もしさを感じていた。
バス2台仕立てお年寄りを招待/うるま市の仲松隆さん 大会成功願う
【うるま】「県民が一つになり声を上げなければ」―。県民大会に向け、うるま市高江洲の建築業、仲松隆さん(53)は個人で六十人乗りの大型バス二台をチャーターした。近所のお年寄りが移動手段に困っているため、バスを手配したという仲松さんは「多くの人が協力し、参加人数五万人を超えなければ」と大会の成功を願っている。
九月上旬に参加した地域のグラウンドゴルフ大会で、お年寄りが会場までの交通手段がなく悩んでいるという話を耳にし、参加人数の確認より先にバスを予約した。
その後、地域を回り、カンパと参加を呼び掛けた。人が集まるかという不安もあったというが、バス二台はすぐに満席となった。
仲松さんは、幼いころから米軍の捕虜になって命を取りとめた父や、幼児のころ母親に置き去りにされてしまった親族から沖縄戦の話を聞き、「二度と悲惨な戦争を起こしてはいけない」という教えを学んだ。
その教えは、四十歳を過ぎて授かった照平君(11)、直哉君(9)、佐也伽ちゃん(7)ら愛する子どもたちへ語り継いでいる。
当日は子どもと妻の清美さん(45)の家族五人、そして戦争体験を経て平和を願う多くのお年寄りと会場へ向かう。「行政まかせでなく一般の人たちの意識を高めなければ、県民の声は政府に届かない」と言葉に強い思いを込めた。
体験者の証言代読
「県民大会」実行委員会は二十七日、那覇市内で最終打ち合わせを行い、座間味島の「集団自決(強制集団死)」体験者の宮平春子さん(81)=座間味村=が式典であいさつ(代読)すると発表した。宮平さんは「日本軍の命令で集団自決が始まった。教科書には正しいことを書いてほしい」と訴えている。
宮平さんに代わり、親類が代読する。宮平さんは「集団自決で亡くなった兄の子どもが生きていたら、もう六十歳以上になる。手にかける前に抱きしめ、号泣した兄のことを思い出すと今でも苦しい」と話した。
宮平さんは今年七月の県議会文教厚生委員会の現地視察でも、自らの体験を証言している。宮平さんは一九四五年三月、当時村助役で兄の宮里盛秀さんが「軍からの命令で、敵が上陸してきたら玉砕するよう言われている」と父・盛永さんに話した、と証言している。
那覇市長・議長ビラ配りPR
那覇市の翁長雄志市長と市議会の安慶田光男議長、議員ら約五十人は二十七日、同市のパレットくもじ前で市民にビラ千枚を配り、県民大会への参加を呼び掛けた。
翁長市長は「皆で結集し大会を成功させることで、日本の将来を築き上げよう。イデオロギーや党派を超えてウチナーンチュの気持ちを伝えていこう」と訴えた。
同市は、二十八日まで市役所本庁一階に、大会への寄付金箱を設置している。
高知市議会が意見書を可決
高校歴史教科書の検定意見について高知市議会は二十七日、国に検定意見撤回を求める意見書を賛成多数で可決した。
意見書は「沖縄戦は決して遠い南の島の出来事ではない。戦争の実相を伝えることは、悲惨な戦争を再び起こさないための礎だ」と訴えている。
沖縄戦では高知県出身者も多数死亡していることなどから民主、社民両党系会派が提案した。
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