東京大学(東京都文京区)の醗酵(はっこう)学研究室の片隅に、少なくとも1950年代から置かれたままの「謎の甕(かめ)」があった。29日夕、教授や名誉教授ら関係者が集まり、その封が解かれた。その中身とは――。

 甕は高さ60センチ、幅40センチほど。緑がかった甕の上部には、土で厚く固めたふたがしてある。大西康夫教授の研究室に、4代前の教授のころからあったものという。研究室内を整理することになり、かつての担当教授らOBを含む約15人が集まって「開封式」をすることになった。

 まず、土のふたをのこぎりで10分ほどかけて切断。すると、甕の口が見え、その上にかわらけでふたがしてあった。かわらけの上には漢字が書かれた紙片。緊張感が広がるなか、大西教授がゆっくりかわらけをとりのぞきこむと、中身は空っぽ。集まった人たちからはため息が漏れた。

 土のふたに書かれた干支(えと)から、1905年に作られた中国の紹興酒とみられるという。中身は蒸発し、においもほとんど飛んでしまったらしい。大西教授は「残念な結果だったが、見つかった紙片にこの酒のことが書いてあるはず。今後調べてみたい」と話した。(土居新平)