沖縄知事への賠償請求に言及
菅義偉官房長官は27日の記者会見で、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古への移設について、翁長雄志知事が辺野古沿岸部の埋め立て承認を「撤回」した場合、翁長氏個人に損害賠償を請求する可能性に言及した。
菅氏は一般論としながらも「行政の長が法令によって与えられた権限をその法令とは異なる目的で行使することは権限の乱用であり、違法だ」と指摘。政府として損害賠償請求を含めて対抗する考えを示した。そのうえで、翁長氏が撤回しても「粛々と工事を進めていきたい」と述べた。
政府は工事が中断すれば、損害額は機材調達費など「1日当たり数千万円」(政府高官)に上るとみている。
翁長氏は工事を阻止するため、2015年10月に埋め立て承認の効力を失わせる「取り消し」処分を行ったが、最高裁は昨年12月、これを違法とする判決を出した。
取り消し処分は埋め立て承認の手続きに問題があったことを理由にするのに対し、撤回処分は承認後に起きた事情を理由にする点で違いがある。【田中裕之】