籠池氏、冒頭発言・要旨…参院喚問
籠池泰典理事長の証人喚問の冒頭発言は以下の通り。
このたび国会で陳述の機会を与えてくださいましたことを深く感謝申しあげます。
私は「真に日本国のためになる子どもを育てたい」という教育者としての思いから、今年4月に「瑞穂の国記念小学院」を開校できるよう、これまで頑張ってまいりました。教育者としての私の思いについて、安倍首相や昭恵夫人、大阪府議会の先生方をはじめ、多くの関係者の皆さんにご理解をいただきましたことは今でも本当に感謝しております。その一方、多くの皆さんのご期待を受けて、舞い上がっていたところも私の中にございました。
不行き届き謝りたい
結果として、手続き上の便宜から設計士の助言にしたがって工事請負契約書が3種類作成されたことや、幼児教育の現場において指導の行き過ぎなど、もろもろの不行き届きが生じてまいりました。それらの不行き届きについては、自分の至らなさを認めますとともに、反省すべき点は反省し、謝りたいと思います。今後は行政のご指導をいただきながら適切に改善を行ってまいります。
しかし現在、新しい小学校を開設する手続きについては、各方面から疑問が呈される中で、弁護士からの指示で申請を取り下げました。これまで応援してくれていたと思っていた人が、手のひらを返すように離れていくのを目のあたりにして、自分自身、「どうしてこうなってしまったんだろう」という思いもあります。本日は、この問題について、私の承知していますことを率直に先生方にお話しいたします。
「真に日本国を支える人材を育てる小学校」をつくることは今でも私の夢であります。その名前については明治維新を担った多くの人材を輩出した「松下村塾」のことが念頭にありました。同じく長州出身で、以前から私の教育理念に共感をいただいている安倍首相に敬意を表したいと思い、当初は安倍晋三記念小学校とするつもりで、昭恵夫人にもご相談を申し上げて、ご理解をいただいたものと思っておりました。
ところが後日、昭恵夫人から「首相の名前を使うことは遠慮してほしい」という旨のお申し出がありましたので、小学校の名称は「瑞穂の国記念小学院」へと変更いたしました。
昭恵夫人にも私どもの教育理念を、深くご理解をいただいていると思っております。昭恵夫人には3回にわたって幼稚園にお越しをいただき、ご視察をいただきました。昭恵夫人に瑞穂の国記念小学院の名誉校長に就任いただいたのは平成27年9月5日にご講演をたまわったときです。
そしてその9月5日に、昭恵夫人は控室として利用をいただいた園長室で、私と対面していただいたときに、同行したお付きの方に席を外すようにおっしゃった後、私と二人きりの状態で「一人にさせてすいません。どうぞ安倍晋三からです」とおっしゃって、寄付金として封筒に入った100万円をくださいました。
昭恵夫人はまったく覚えていないとおっしゃっているようですが、私たちには大変名誉な話なので鮮明に覚えております。
元府議長が「特別な計らい」
また、小学校の設立に関する大阪府の申請では、お亡くなりになられましたが、府議会議長を務められた畠成章先生から頂戴したご恩も忘れられません。
畠先生には森友学園の幹事も務めていただくなどして、いろいろご指導いただいておりました。畠先生は松井知事のお父さまとも親しいお付き合いがあり、松井知事が維新会派を作る時も陰ながら助力されたということで、大阪府の松井知事や府にお力添えをいただくよう畠先生にお願いしておりました。
そのお陰で、大阪府の当時の総務部長などにも説明させていただきまして、小学校設置の認可申請では特別な取り計らいをいただいたものだと感謝しております。
そのおかげで大阪府の当時の総務部長などにも説明させていただきました。小学校設置の認可申請では、特別なとりはからいをいただいたものだと感謝をしております。
ただその後、大阪府の中でどのようなやりとりがなされたのかは、うかがい知ることはできません。松井大阪府知事や関係者の方からお話を聞いて、国会や府議会で真相を究明していただきたいと存じます。
次に土地の取引について申し上げます。
小学校建設用地である豊中の国有地の存在については、不動産屋さんから平成25年に紹介を受けました。これはすばらしい場所だと思い、小学校のために土地を確保したいと思いました。その土地は国有地ということで、平成27年5月29日に定期借地契約を締結しました。土地買い上げの条件として10年だったものをもっと長い時間へ変更できないかとの思いから、私たちの教育理念に賛同している昭恵夫人に助けをいただこうと考え、昭恵夫人の携帯に電話をいたしました。平成27年10月のことです。
留守電でメッセージを残しました。すると後日、内閣総理大臣夫人付きの方からご連絡をいただき、なかなか難しいとのお返事をいただきました。平成27年11月17日にいただいたファクスでは「現状では希望に添うことはできない、なお、本件は昭恵夫人にも既に報告しております」というお言葉をいただき、骨折りに感謝しておったところです。
しかし、私は財務省のなかでこの間、どのようなことが起きていたのか詳しく存じあげません。昭恵夫人や財務省の関係者に詳しくその経緯を聞いていただきたい。
とかげのしっぽ切りやめて
また、あの土地にヒ素や鉛などがあるということは契約上も明らかだったのですが、平成28年3月に工事が始まって、新たに生活ごみが出てきました。その後、工事の施工業者に北浜法律事務所の弁護士を紹介していただき、以降の一切の交渉をお願いしましたところ、最終的に土地価格を8億円あまりも値引きされた、1億3400万円あまりになったと聞き、想定外の大幅な値下げに当時ちょっとびっくりしました。
売買契約を結びましたが交渉の詳細については詳しく承知していないので、値引きの根拠などについては、近畿財務局や当時の理財局長、弁護士にお聞きいただきたい。
先日、私は大阪府への小学校設置認可申請をとりさげました。これは顧問弁護士のご指示によるもので、私は断腸の思いでした。しかしその後なんら事態は改善せず、むしろこの問題で私だけを悪者にするような政府の要人や大阪府知事の対応を見て、何かおかしいと気付き始めました。
財務省の理財局長名で10日間隠れていてと顧問弁護士から申し添えられたことも、そのときは不思議に思っておりました。
平成29年3月15日にもうこれ以上かかわることはできないと、突然、顧問弁護士から辞任の申し出をいただきましたが、私には何があったのか理解できません。ぜひ国会でも聞いていただきたい。
この問題が国会で議論されるようになってから、私の妻のところに昭恵夫人から、「ご夫妻が今、大変なことは想像がつきますが、主人にとっても大変なことに巻き込まれたということも理解いただきたいと思います」とか、「私がかかわったということは裏で何かがあるのではと疑われないように」という口止めとも取れるメールが届きました。
あんなに私たちの学校の開校を楽しみにしてくれ、考え方に共鳴しているとか、森友学園の教育への熱意はすばらしいという話を聞いていると総理もおっしゃっていたのに、どうしてなのか割り切れない思いです。
私は小学校設立に夢中で走り続けてまいりました。その途中で多少無理をしてしまったかもしれません。
でも、私が昭恵夫人や畠先生にお願いした先でどんな対応をされたのか本当にわかりません。国有地の大幅な値引きなど一連の経緯の真相を明らかにするためにも、私だけとかげのしっぽ切りで罪をかぶせようとするのではなく、ぜひ関係の方々を国会に呼んで真相の究明を進めていただくよう、心からお願いいたします。