日露2プラス2 警戒怠らず対話継続を
日本とロシアの外務・防衛担当閣僚協議(2プラス2)が3年4カ月ぶりに行われた。
議論は平行線に終わったが、北東アジアの安定に日露間の信頼醸成は欠かせない。ロシア側のペースにならないよう警戒を怠らず、戦略を固めて対話の継続を目指したい。
今回の協議で一致点を見いだすのが難しいことは予想されていた。ただロシア側は特に、協議の再開自体に意味があった。
もともとロシアとの2プラス2は、2013年4月の安倍晋三首相の公式訪露にあたって、日本側が提案して始まった。北方領土問題の解決に向けた信頼関係の構築に加え、中国をにらんだ戦略的な狙いもあった。最初の協議はこの年の11月に東京で開かれた。だが、翌年のウクライナ危機の後、対話は中断されたままだった。
今回、再開を持ちかけたのはロシア側だ。ロシアは米英仏など5カ国とも2プラス2の枠組みを持っているが、いずれもウクライナ危機後は中断されている。日本との協議再開には、国際的な孤立からの脱却を印象づける狙いがあった。
日本側もわかってはいたが、幅広い関係強化を進めて安倍首相の4月訪露につなげるため再開に応じた。
協議では、ロシアによる北方領土への地対艦ミサイル配備などの軍備強化や、北朝鮮に対する日米韓の弾道ミサイル防衛(BMD)の強化などで日露の立場は対立した。
対北朝鮮でも、国連安保理決議の順守を求める大前提では一致したものの、米国とともに厳しい圧力で臨む日本と、対話再開を求めるロシアとの溝は埋まらなかった。
背景には日露の世界戦略の大きな違いがある。日本にとって北東アジアの安全保障に米国の関与は不可欠だが、ロシアは米国の影響を排除した、中国を含む地域主導の安全保障体制を構築するよう主張している。米国主導の包囲網を警戒するロシアと、中国の海洋進出を脅威と考える日本との安保観の違いは大きい。
ロシアは今回、シリアで進める医療支援や地雷除去への日本の協力を求めた。だがシリア内戦ではアサド政権を支援するロシアと、反体制派を支援する米欧が対立しており、ロシア主導の作戦に日本が乗ることは難しい。こうした揺さぶりには、シリア情勢に対する日本の認識の違いをはっきり伝えるべきだ。
北朝鮮や中国をにらみ、北東アジアの緊張緩和と安定を築くうえでロシアの関与は欠かせない。そのためには、戦略の違いを踏まえたうえで対話を続ける必要がある。合意された防衛当局間の交流再開を呼び水に、信頼醸成を進めたい。