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入試実技ひそかに優遇 体育系事前リスト

県立幕張総合高校の入試の仕組み

 千葉県立幕張総合高校(千葉市美浜区)が普通科の入試で、運動などの「実技検査」を受けた生徒130人を優遇し、不合格となった生徒の学力検査(5教科500点満点)の得点より100点前後低くても合格させていたことが分かった。優遇対象となる生徒の多くは運動部の顧問が勧誘するなどして入試前にリスト化。こうした仕組みは受験生に知らされず、一部の教員だけで秘密裏に数年間行われていた。

100点低くても合格

 公平・公正さが求められる公立高の入試でこうした選抜方法は極めて異例。県教委は取材に「事実であれば改善を指導する」と調査する意向を示した。

 同校が2月中旬に行う前期入学者選抜(入試)で受験生は(1)部活動への参加を前提とした「実技検査」(2)口頭による「自己アピール検査」のいずれかを選択し、A、B、Cの3段階評価を受ける。これに学力検査と内申点(中学の成績)を合わせて合否判定する。

 複数の同校関係者や内部資料によると、実技か自己アピールでA評価を得れば、学力検査が250点以上などの条件を満たせば合格となる。ところが実技では例年300~400人前後の受験者のうち130人がA評価の一方、自己アピールでA評価は例年600~700人前後のうち0~1人だった。自己アピールを評価した複数の教員は「検査担当者から『なるべくA評価は付けないように』と指示された」と証言した。

 実技は体育系と合唱などの文化系があり、体育系の多くは運動部の顧問らが競技に秀でた生徒を勧誘し、A評価の候補者を事前にリスト化。部ごとにA評価の「人数枠」も調整していた。

 この結果、A評価の生徒はおおむね学力検査が250点以上なら合格となる一方、B評価の生徒は350点前後でも不合格となるケースが出ていた。こうした仕組みは2011年から続き、校内でも一部から批判の声が出て、同校は今年、A評価での合格基準を265点以上などに引き上げた。元校長の一人は「部活動を振興し学校の特色とするためで、前任者から引き継いだ。A評価者を事前にリスト化しているのも事実だ」と証言した。【藤田剛】

特色出すため

 由利聡校長の話 特色ある学校を作るという方針で現在の選抜方法になった。(実技と自己アピールのA評価者数の差は)たまたまだと思っている。(具体的には)内部の話なので言えない。(部ごとに調整しているかは)知らないし、知りたくもない。ただ、(受験生に)誤解がないようにする必要があるので状況に応じて見直していきたい。

基準の透明化を

 内田良・名古屋大大学院准教授(教育社会学)の話 A評価の割合がこれほど違うのは公正さを著しく欠く。不透明な形で部活顧問が決めているのであれば、生徒は入学後も顧問に縛られることになりかねない。高校入試という人生を左右するものがどう決められているか分からないと、生徒も選択できない。まずは基準を透明化すべきだ。

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