稲田防衛相「結果早く公表」…特別監察を開始
南スーダンの国連平和維持活動(PKO)に派遣された陸上自衛隊部隊の日報問題で、防衛省の防衛監察本部は17日、特別防衛監察を開始した。監察対象は、日報の電子データを保管していた陸自を取りまとめる陸上幕僚監部や、統合幕僚監部、内局が中心。稲田朋美防衛相は同日の閣議後記者会見で、監察結果の公表について「できるだけ早くと指示している」と述べた。【町田徳丈】
調査項目は、情報公開請求に対し「廃棄したため不存在」と回答後、一転して日報を開示するまでの事実関係▽文書や電子データの保管や廃棄の適正性▽情報公開法に基づく対応の適正性▽規則違反があった場合の再発防止。データを保管していた陸自端末の記録も調べるとみられる。
防衛省関係者によると、1月中旬に陸自での保管が確認されたと、陸自トップの岡部俊哉陸上幕僚長は報告を受けていた。陸自は開示する方向で調整したが、PKOを含む自衛隊の部隊運用を担当する統合幕僚監部の幹部で「背広組」との通称がある防衛官僚が非公表を指示した。
同時期には統幕でも保管が確認され、開示に向けた作業に入っていた。非公表の指示は、一度探した陸自内で見つかったことで不開示決定との矛盾を追及されるのを避けようとした可能性がある。
岡部氏が報告を受けていたとの一部報道があった16日夜、稲田氏は事務次官を通じて事実関係を確認。しかし、岡部氏は「報道のような事実は認識していない」と否定した。特別監察では岡部氏ら上層部を含めた組織的な隠蔽(いんぺい)があったか否かも調べるとみられる。
「徹底調査を」安倍首相
安倍晋三首相は17日の衆院外務委員会で「独立性の高い立場から徹底した調査をすることが重要だ。防衛相には徹底的な調査を行い、改めるべき点があれば大臣の責任で改善し、再発防止を図ることで責任を果たしてほしい」と述べた。稲田防衛相は特別防衛監察による実態調査について「監察監に対し、なるべく早く解明するよう指示した」と語った。【光田宗義】