2017-03-15 上げたのは2日後
■[ネット][近現代][身辺雑記]教育勅語の現代語訳で「朕」をどう訳すかという問題
念のため、原文からして長い文章ではないし、真面目に知りたいだけならば事典を引けば内容の理解としては充分だろう。
同時代の受容についても、id:tadanorih氏が紹介している副読本などが簡単に参照できる。子供向けなので現代でも読みやすい。
@hayakawa2600: 教育勅語原文を読んでもわからんという方は、「現代語訳」にチャレンジするよりも、敗戦前までに出版された子ども向け解説本をご覧になったほうがいろいろおトクですよ。国会図書館でただで読めるもののなかでお薦めは教育勅語渙発五十周年奉賛会編『教育勅語児童読本』(帝京書房、1940年)です。
@hayakawa2600: @hayakawa2600 デジタル化された資料へのリンクはこちらであります。URL
一方、現代語訳については国民道徳協会の口語訳が出まわっており、神社サイトや産経記事に使用されることがある。
戦後に教育勅語が排除された結果、我が国の倫理道徳観は著しく低下し、極端な個人主義が横溢し、教育現場はもとより、地域社会、家庭においても深刻な問題が多発しています。
【阿比留瑠比の視線】教育勅語のどこが悪いというのか 毎日新聞よ、無知と偏見の他者攻撃はみっともない(1/3ページ) - 産経ニュース
教育勅語の口語文訳は次のようである。
「私は教育の根本もまた、道義立国の達成にあると信じます。国民の皆さんは、子は親に孝養を尽くし、兄弟・姉妹は互いに力を合わせて助け合い、夫婦は仲むつまじく解け合い…」
しかし戦後に教育勅語を正当化するため、原文に書かれていない主張もあれば原文の要点をとりこぼしていたりと問題が多々ある。
良く見ると「以テ天壌無窮ノ皇運ヲ扶翼スヘシ」にあたる部分がどこにも見当たらない。しいていえば、「国の平和と、安全に奉仕しなければなりません」がそれにあたる部分だが、「天壌無窮ノ皇運ヲ扶翼スヘシ」(「天壌無窮」=天地とともにきわまりないこと、すなわち永遠。つまり、「永遠に続いていく天皇の運をたすけなさい」という程度の意)とは全く意味が違う。教育勅語は、天皇をたすけよ、と言ってはいるが、国をたすけよ、と言っているわけではないのだ。
そして、天皇などしか使えない一人称「朕」を、単純に「私」と訳しては誰が誰に指示した言葉なのかわからなくなるという問題も指摘されている。
国民道徳協会の現代語訳はそれにとどまらず、天皇の祖先と臣民の祖先を同じように「私たちの祖先」と記述しているという問題まで生まれた。
そこで高橋源一郎氏は、自分の立場をふくめて説明するような呼びかけとして現代語訳した。
高橋源一郎氏の「教育勅語」現代語訳 - Togetterまとめ
@takagengen: たとえば、「朕惟フ」と言うと、ふつう「私は思う」と訳す。もちろん間違っていない。でも、なんか違う。「朕」を使えるのは、天皇ただひとり。同時代で、「朕惟フ」を読んだ人は、「私は思う」とは受けとらなかったんじゃないかな。正確だけれど「正しくない」訳、そんな気がする。
@takagengen: 教育勅語?「はい、天皇です。よろしく。ぼくがふだん考えていることをいまから言うのでしっかり聞いてください。もともとこの国は、ぼくたち天皇家の祖先が作ったものなんです。知ってました? とにかく、ぼくたちの祖先は代々、みんな実に立派で素晴らしい徳の持ち主ばかりでしたね」
しかし、これはこれで過剰にくだけた雰囲気が生まれ、国家のために人々を動員するという意味が損なわれている感もある。
一方、事典風に冗談を記述するアンサイクロペディアでは、くだけつつも「俺」から「お前ら」に命じる高圧的な現代語訳で固定されている。
俺いつも考えてみるんだけどさ、俺の祖先の神武天皇が、日本の国を作ったって事はすげえよな。それ以来俺の家系がしっかりとこの国を支配する仕組みを作ったのは偉い。この俺様の先祖たちの考えに従って、お前ら臣民は、俺様に忠誠を誓い、良くやってくれた。
ここで私案を出すと、教育勅語が活用された戦時中の天皇観にしたがって「神(の子孫)である私」くらいの意訳が「朕」に近いと思っているが、どうだろうか。
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