「北朝鮮の非核化失敗」岸田氏と会談
安倍晋三首相は16日、ティラーソン米国務長官と首相官邸で会談し、北朝鮮政策を巡って日米で擦り合わせ、戦略目標を共有することが重要との認識で一致した。日米韓の連携や中国の役割の重要性も確認した。
ティラーソン氏は首相との会談に先立ち、東京都内の飯倉公館で岸田文雄外相と会談。共同記者会見で、ティラーソン氏は「北朝鮮を非核化しようとする20年間の努力は失敗に終わった。脅威がエスカレートしており、新たなアプローチが必要だ」と指摘した。トランプ政権が進める北朝鮮政策の見直しを巡り、ティラーソン氏は首相との会談で「全ての選択肢がテーブルに載っている」と述べた。
首相とティラーソン氏は中国が現状変更の試みを続ける南シナ海、東シナ海情勢で懸念を共有したほか、地域の平和と安定には米国の関与が重要との認識で一致。首相は北方領土問題の解決に意欲を持ち、ロシアとの平和条約締結に向けてプーチン大統領と議論を深めていると説明し、ティラーソン氏は理解を示した。
ティラーソン氏は岸田氏との会談で、慰安婦問題に関する日韓合意を「支持する」と明言。外務・防衛担当閣僚による安全保障協議委員会(2プラス2)の早期開催に向け日程調整を加速することでも一致した。
トランプ政権の閣僚の来日は、2月のマティス国防長官に続き2人目。ティラーソン氏が首相と会談するのは初めてで、岸田氏との会談は3回目。ティラーソン氏の就任後初のアジア歴訪は日本を皮切りに韓国、中国を訪れ、北朝鮮への対応などを引き続き協議する。【影山哲也】