不適切な運営実態、明らかに 三者委報告書
IT大手ディー・エヌ・エー(DeNA)が運営する情報サイトがずさんな管理で休止に追い込まれた問題を調査していた第三者委員会が13日公表した報告書で、健康情報サイト「ウェルク」の掲載記事が医療関連の法律に抵触する疑いがあると認定されるなど、不適切な運営実態が明らかになった。
薬機法などに抵触の疑い
「咳(せき)止め! おすすめの市販薬5選」の記事では、市販の鎮咳(ちんがい)去たん薬の成分についての記載で、同製品の安全性を誤認させかねない記述があり、医薬品医療機器法(薬機法、旧薬事法)が禁止する医薬品等の広告規制に該当▽「妊活の基礎知識と始め方」の記事は、市販のサプリメント成分が不妊の改善に効果があるかのように表示しており、同法が禁止する未承認の医薬品などの広告に該当▽「水素水ランキング! 若返りの水?!」の記事は、「水素水に筋肉疲労を防ぐ効果がある」など未実証の健康保持効果を表示しており、健康増進法に該当--。それぞれが触法する疑いがあるとしている。
不適切な広告と記事
2016年10月末、グーグルで「死にたい」と検索した読者向けに公開した「早く死にたいと思っている方へ」と題した記事に対し、外部から「不適切だ」との指摘があったにもかかわらず、担当者は対応しなかったうえに、同様のテーマで記事を作成し、性格分析サービスを提供している外部サイトの広告を掲載。この種の広告に関する掲載方法を定めたマニュアルなどはなく、記事にどのような内容の広告を載せるかは、担当者の裁量に委ねられていた。
他に問題視された記事では、日焼けの対処法として「ぬれタオルで冷やしましょう」と記されているが、参照元として引用されていたブログを運営していた医師から「正確に引用されていない」との指摘があったという。報告書では「専門知識のないライターが、複数のウェブサイトに掲載された記事を安易につなぎあわせて作成したのではないかと推察され、記事内容の正確性を保つうえで、大いに問題だったといわざるを得ない」と断じている。
さらに「ムカデに咬(か)まれた場合の対処法」の記事は、「患部に46~50度の熱い湯をシャワーであて続けるようにしてください」などと誤った情報を記載。16年9月に病院関係者から「ムカデに咬まれて、さらにやけどをして来院する人が増えており、『(ウェルクの)記事を見た』と言われた。加熱すると毒が全身に回るので、お湯につける項は削除してほしい」との指摘があり、DeNA側は「すぐに削除した」との姿勢だが、そもそも医師の監修を経た形跡がなく、参照元の引用もなかった。【岡礼子/デジタル報道センター】