小学校不認可へ 府知事「書類信ぴょう性ない」
大阪市の学校法人「森友学園」が4月に大阪府豊中市に開校を目指す「瑞穂の国記念小学院」の設置認可を巡り、府は「不認可」とする方針を固めた。学校の工事費について、学園が国や府に異なる金額の契約書を提出したことなどで虚偽報告の疑いが濃厚になった上、9日に実施した現地視察でも、工事費の領収書の額と府に提出した契約書の記載額が異なっていることが判明。府は報告に信ぴょう性がないことから「安定的な学校運営ができない」として不認可が適当だと判断した模様だ。
設置認可を審査する府私立学校審議会(私学審)は予定を前倒しして16日ごろ開かれるが、府関係者によると、認可を認めない意見が委員の大勢という。私学審は2015年1月、条件付きで「認可適当」と答申し、審査を続けていた。
この日の現地視察には籠池泰典理事長が立ち会った。府側は工事契約書の原本の確認を求めたが、工事費の前払いの領収書のみが示された。額面は1億5552万円だったが、工事契約書には7560万円と記載。収支計画には該当年度に支出の記載がなかった。府は改めて裏付け資料の提出を求めるとともに、設置認可の審査に必要な手続きである現地視察をやり直す。
松井一郎知事は9日、記者団に「学園が出してきた書類は信ぴょう性がない。私学審が(認可で)意見をまとめることは考えにくい」と述べた。
森友学園の資料を巡っては、私学審に提出された資料に相次ぎ疑義が発覚。学園側が小学校の工事費を「7億5600万円」とする契約書を私学審に示す一方、「23億8464万円」とする契約書を国土交通省に提出。また、府建築振興課には施工業者が「15億5520万円」とする契約書を提出しており、業者側は正しい金額を記したと説明している。
また、理事長の経歴に詐称の疑いがあるほか、「愛知県の私立中等教育学校への推薦枠がある」など事実と異なる内容を報告していたことも判明。学校の要となるベテランの「総括教員」も辞退しており、確保のめどが立っていない。
視察終了後に取材に応じた籠池理事長は「私学審に報告した『7億5600万円』が正確な金額だ。推薦枠はコンサルタントのミスで申し訳ない」と説明。一方で「(認可適当の)私学審の答申がなければ建物を建てていなかった」として認可を求めた。
府は14日を新たな収支計画やごみの搬出計画の提出期限と設定。私学審を開いた後、速やかに府としての最終判断をする。【津久井達、武内彩、青木純】