要注意!クラッシャー上司 有能だけど…人の痛みに鈍感

02.27 10:15 東京新聞

◆松崎一葉・筑波大教授に聞く(上)

 仕事を苦役にするのは、長時間労働だけではない。仕事はできるものの、部下を次々つぶして出世していく「クラッシャー上司」もそのひとつだ。その危険性を著書「クラッシャー上司」(PHP新書)で指摘した筑波大医学医療系産業精神医学・宇宙医学グループの松崎一葉(いちよう)教授(56)に、クラッシャー上司の傾向と対策について聞いた。 (三浦耕喜)

 松崎教授がクラッシャー上司の存在に気づいたのは、十五年ほど前。某大手広告代理店に赴いた時のことだ。
 メンタルヘルス対策で招かれたはずだが、居並ぶ社の幹部の表情は渋い。同席した常務が言った。「メンタルヘルスなんてやめてくれ。俺は部下を五人つぶして役員になったんだ」。松崎教授の中でクラッシャー上司の概念が生まれた瞬間だった。

 クラッシャー上司とは何か。松崎教授は「一言で言えば、部下を精神的につぶしながら、どんどん出世していく人のことです」と定義する。その人は基本的に能力があって仕事ができる。部下は心を病んで倒れていくが、業績はトップクラスなので、会社は問題に気付いても処分できない。結果として、どんどん出世してしまうという。

 人格を否定したり容姿をやゆしたり、「バカ!」などと暴言を吐いたりすれば、単なるパワハラ上司として指摘もしやすい。だが「クラッシャー上司は頭がいいので、そんなことは悪いこと、やってはならないことだと知っている。そうではなく、自分のやっていることは善なのだという確信すら抱きながら、部下を追い詰めていくのです」。

 松崎教授が挙げたのは、部下への指導に熱心な上司の例だ。

 ある機械メーカーの課長が二十代の部下に顧客の要求が厳しい案件を任せた。課長には部下を育てたいとの思いがあった。案件が行き詰まってくると、深夜まで残業続きの部下に課長は張り付いて指導した。「俺もこうやって鍛えられてきた」「客の信頼を失ってはならないぞ」と叱咤(しった)激励を続けた。部下には休む暇もなくなった。

 そんな仕事が数週間続いたある日、部下は出社できなくなり、療養を要する身に。間に入った総務担当に課長は「やっぱり最近の若いやつはだめだ。他のできるやつを回してよ」と言ったという。

 松崎教授は「この場合、課長に悪意はない。むしろ部下の成長を期待して支援にも熱心だ。だから付きっきりで指導する。だが、自分がそうすることで、そうされる側の部下がどれだけつらい思いでいるのか。そこが共感できない」と言う。他者の痛みに鈍感なのが共通点。「自分のやり方は正しく、こうして部下を鍛えている自分は善であるという確信が揺らがないからです」

 ネチネチと質問と要求を投げかけて、一時間でも二時間でも部下を「雪隠ぜめ」にするタイプも、クラッシャー上司として要注意だと松崎教授は指摘する。「じりじりと部下を追い込み、逃れるすべを奪っていく。部下が戸惑い、おびえるのを見て、さらに攻撃性を増すやり方です」

 鉄壁の論理を構築し、部下を反論の余地のないところまで心理的に追い詰めていく。「部下が疲れ果てて『すべて自分の間違いです』と平伏するまで延々と議論するのも特徴」だ。

 会社にとって人は貴重な資源のはず。なのに壊された側は脱落し、壊した側は悪びれもせず出世する。この理不尽さがもたらすものとは。

外部リンク

正男氏遺体から猛毒VX マレーシア警察 毒殺ほぼ確定

02.24 14:48 東京新聞

 【クアラルンプール=共同】北朝鮮の金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長の異母兄、金正男(キムジョンナム)氏殺害事件で、マレーシア警察のカリド・アブバカル長官は二十四日、遺体から猛毒の神経剤VXが検出されたとの暫定結果を発表した。死因が毒殺だったことがほぼ確定した。警察はVXの入手経路などについて、逮捕した北朝鮮国籍の男や実行犯の女らをさらに追及する。

 発表によると、マレーシア政府の化学兵器分析センターが検査を実施。目の粘膜や顔から拭き取った試料からVXが検出された。VXは日本のオウム真理教による殺人、殺人未遂事件で使われたことで知られている。

 正男氏は十三日、クアラルンプール国際空港で実行犯の女二人に襲撃され死亡。警察によると、二人は正男氏の顔に素手で液体を塗りつけた直後に手を洗ったことが確認された。地元メディアによると、二人は手に痛みが残り頭痛がしたと供述しているという。

 地元紙スターは二十四日、事件の容疑者の一人の供述などから浮上した三十代のマレーシア人の男の関係先で、警察が化学物質などを押収したと報じた。この男が事件に関与したかや化学物質がVXだったかは不明だ。

 一方、長官は、正男氏の親族が一両日中にマレーシア入りする予定だとした副長官の二十三日の発言について「(記者に)誤って引用された」と述べ、否定した。

<VX> 1950年代に英国、米国で開発された化学兵器用の神経剤で、人の神経伝達機能に障害を与えて死に至らせる。無臭で無色、または琥珀(こはく)色の液体。高濃度の場合は粘着性もある。液体や噴霧の形で使われるが、揮発性が低いのが特徴で、毒ガスとしての効果が持続し、液体で数週間以上、残存する。皮膚などから吸収され、呼吸困難や意識障害、瞳孔の縮小などを引き起こす。 (共同)

北朝鮮軍の内部文書 物不足が軍紀揺るがす

02.24 14:28 東京新聞

 本紙が入手した約千三百点に上る北朝鮮軍部隊の内部文書は、軍内部で頻発する事件や事故を生々しく伝えている。背景には食料や物資の深刻な不足があり、体制を批判する幹部、映画や音楽など韓国文化の流入と、問題は枚挙にいとまがない。「軍隊が変質・瓦解(がかい)すれば、われわれの祖国は、砂のように崩れてしまう」-。軍最高司令官・金正恩氏の発言には、軍への強い危機感がにじむ。 (北京・城内康伸)

指揮不能

 「二〇一一年三月、戦時動員訓練時、二十人の地方軍兵士が食べる物がないと言って逃げ出した」

 「一二年七月、軽歩兵中隊の野外機動訓練で食料が不足し、予備役の25%だけを参加させたが、それでも食料が足らず、三日目には訓練場から撤収した」

 二三五軍部隊「政治部」が作成した文書には、兵士が空腹に耐えられず、部隊を離脱する事例が相次ぐ。

 軍上層部の指示に従わず、生活費稼ぎにいそしむ幹部もいる。「砲兵連隊中隊長は一三年五月、具合が悪いので病院に行くと言って帰宅。妻と一緒に商売をしていた」(中隊長のための党生活総和報告書)

 物資不足も深刻だ。一二年八月の軍部隊党委員会総会では「部隊に無線機の充電器がなく、85%の無線機を稼働できず…、百四十キロメートルの被覆ワイヤが必要だが十キロメートルしかなく、直ちに戦争が起きれば指揮不能」と報告された。

 不足する資材は自己調達が要求され、これが犯罪につながる。一二年六月の文書では、警備小隊兵士が同年三月、街で電線八十メートルを切断し警察に捕まった事例や、高射砲大隊が鉄道線路百メートルを外し盗んだと告発。部隊の備蓄燃料を民間人に売る事件も起きている。

陽奉陰異

 朝鮮労働党や最高指導者の方針への不満も広がっているようだ。一三年六月の文書によると、部隊長の一人は「人民生活が大変なのに人工衛星を頻繁に発射してどうするのか。生活の問題を早く解決した方がいい」と述べ、批判は事実上の弾道ミサイルである衛星打ち上げにまで及ぶ。

 正恩氏は、こうした部隊の実態に幹部も対処しない現象について「陽奉陰異」する政治将校が少なくないと叱責(しっせき)。陽奉陰異は「面従腹背」を意味する言葉だ。

 文書からは、韓国や欧米の文化が浸透していることも分かる。人民軍では一二年後半、韓国映画やアダルト動画など「不純録画・録音物」約二千七百個を押収し、約六千九百件を摘発。USBメモリーなど記憶媒体によって流入したとみられる。作戦を指揮する参謀長宅からも「かいらい(韓国)の歌が記された手帳」が見つかっている。

 正恩氏は、「不純物」を見たり聞いたりする「異色的生活風潮」の根絶を指示したが、北朝鮮消息筋によると、異文化への関心やあこがれは広がる一方だ。

 脱営も後を絶たない。別の北朝鮮関係者によると、東海岸の咸鏡南道端川(ハムギョンナムドタンチョン)の発電所建設現場に昨年十一月に派遣された平壌郊外の大隊は、過酷な労働を嫌い、十日ほどで隊員の多くが行方をくらましたという。

体制維持の基軸動揺

<北朝鮮の内部事情に詳しい石丸次郎・アジアプレス大阪事務所代表の話> 北朝鮮軍内部の人物しか知り得ない、生々しい内容の資料が大量に流出するのは、極めて異例なことだ。文書に記された軍内の非行現象がその後、改善されたという話は聞かない。むしろ悪化している状況だ。北朝鮮の軍隊は「革命の軍隊」であり、体制維持の基軸。文書は、その軍隊の弱体化を如実に示しており、それは北朝鮮の国防だけでなく、金正恩体制の維持にとっても非常にマイナスだ。

<235軍部隊> 内部文書によると、平壌の南西約50キロに位置する南浦(ナムポ)地区に駐屯、兵力は約1万6000人。砲兵連隊と4個の歩兵連隊、直轄大隊、直轄中隊各5個などからなる。部隊指揮部の政治部は朝鮮労働党の指揮下にあり、部隊長の動向まで監視する強い権限を持つ。

北朝鮮の235軍部隊で作成された膨大な内部文書の一部。文書ファイルとして入手した=城内康伸撮影

ネット通販が宅配現場を圧迫 ヤマト労組「荷受け抑制を」

02.24 13:39 東京新聞

 ヤマト運輸の労働組合が二〇一七年春闘の労使交渉で宅配便の荷受量の抑制を求めたことが二十三日、分かった。インターネット通販の利用が広がり宅配便が増える一方、運ぶドライバーが足りず長時間労働が慢性化していることが背景にある。 (伊藤弘喜)

 国土交通省によると、宅配便の取扱数は統計を取り始めた一九八四(昭和五十九)年度以来、右肩上がりの傾向が続いている。楽天が九七年に通販サイト「楽天市場」を開設し、米大手アマゾンが〇〇年に日本でサービスを開始するなど、近年はネット通販が宅配便の数を押し上げている。

 ネット通販は中高年にも浸透しつつある。高齢者や共働き家庭が増えるとともに宅配ニーズは増し、即日の配達など速さの競争も激化している。

 しかし、宅配便を運ぶトラック運転手の数は〇三年以降ほぼ横ばいだ。このため長時間労働が深刻化しており国交省のまとめによるとトラック業界の労働時間は全産業平均に比べ月四十時間(一三年)も長い。にもかかわらず月平均の所得は賞与を含めても中小型トラック運転手で三十一万円と全産業比で二割も低い。若者は敬遠し、ドライバーの高齢化が進んでいる。

 宅配便の約二割で届け先が留守などのため再配達を要していることも課題だ。ドライバー全体の約一割に当たる年間九万人分の労働力が再配達に費やされている。

 ヤマトで、労組が荷受量の抑制を要求したのは、こうした現場の負担増に歯止めをかける狙いがある。会社側が要求に応じれば、アマゾンなど大口顧客に対し、値上げなどを求めることも考えられる。結果的にネット通販の利用料が上がり、利用者負担が増えることもありえる。

 ネットの普及とともに拡大してきた通販だが、人手不足の壁の顕在化で、伸びは鈍る可能性もある。

 <ヤマト運輸> 1919年に東京で創業。「宅急便」で知られる宅配便事業を全国で展開する。2005年に持ち株会社制に移行した。宅配便の取り扱い個数で最大手。15年度のシェアは46・7%。国内だけでなく海外でも事業を広げている。社員数は16年3月15日現在で15万7863人。集配拠点は全国に約4000カ所ある。

多彩なパン 白熱の予感 パンのフェス2017

02.24 13:37 東京新聞

 <限定 要チェック!>昨年の初開催時、雨だったのでのんびり午後から出掛けたら、商品はほぼ完売。あぜんとしたことをよく覚えている。パン好きな人たちの情熱をなめてはいけない。今年も白熱の予感。「パンのフェス2017」が3月3~5日、横浜赤レンガ倉庫で開催される。

 主催は日本出版販売(日販)とぴあによる実行委員会。そもそもは日販が、パン専門家を目指す人向けに手掛ける「パンシェルジュ検定」が好評なことから、パンの祭典を思い付き、ぴあと組んで企画した。運営側としても「特に初日は平日で、慣らし運転のつもりが朝から大行列で驚いた」とか。昨年は3日間で12万人を集めた。

 今回は開催エリアを倍に広げ、参加店も昨年の42店から、出品のみも含めて約70店に拡大。雑貨&キッチンカーエリア以外の「パン屋さんエリア」には先行入場時間(11時~14時半)を設けた。前回買えなかった人が多かったための対応。ただし入場料300円が必要。15時以降は無料開放となる。

 昨年に続き参加する人気店は、TVチャンピオン優勝経験のある栃木県の「ベーカリー ペニーレイン」、“パン・オブ・ザ・イヤー”金賞に輝いたメープルメロンパンが看板商品の「ボンジュール・ボン吉祥寺店」、国産食材にこだわり多彩なメロンパンが目を引く江戸川区の「焼きたてパン工房ゆうは」、有機ふすま(穀物の外皮や胚芽)を使用した低糖質ふすまパンで知られる渋谷の「フスボン」など。できれば、無理な買い占めなどは控えるよう呼び掛けている。パンも情熱も加熱し過ぎないよう適温で。 (村手久枝)

 ◇横浜赤レンガ倉庫:横浜市中区新港1の1。イベント広場で11~19時(最終日は17時まで。パン屋さんエリアは各日17時まで)。パン屋さんエリアの先行入場は300円。その他は入場無料。詳細は「パンのフェス」公式サイトで。

左上から時計回りに「焼きたてパン工房ゆうは」「フスボン」「ボンジュール・ボン」「ベーカリーペニーレイン」のパン

「3歩で3県」の珍風景 加須市・栃木市・板倉町がPR

02.24 02:00 中日新聞社

 <埼玉>全国的に珍しい平地の三県境に接する加須市と栃木県栃木市、群馬県板倉町が協力し、三県境を活用した観光客誘致に本格的に乗り出した。今月十日から、スマートフォンの衛星利用測位システム(GPS)機能を利用したイベント「三県境モバイルスタンプラリー」を実施。ほかにも周辺施設の拡充や新グルメの開発を進める。「三歩で三県を回れる県境」を集客拠点とし、観光物産など地域の魅力発信を目指す。 (中西公一)

 三県境は、道の駅きたかわべ(加須市小野袋)構内の施設「北川辺スポーツ遊学館」の南東約五百メートルに位置する。昨年三月に県境確定の調印式があり、加須、栃木、板倉の三市町が観光客誘致などで連携を強化することに合意していた。

 今回のスタンプラリーに参加するには、スマホを使い、三県境のサイト(https://webcp.jp/sankenkyo/)で登録。三県境と三市町内のチェックポイントを訪れ、サイト内でスタンプを取得する。ポイントは三県境、北川辺スポーツ遊学館、雷電神社(板倉町)、藤岡遊水池会館(栃木市)の四カ所だ。

 三月二十六日までの期間中、四カ所のスタンプを集めた参加者には賞品がある。到達賞としてモバイルチャージャー(充電器)を先着千人に。ほかにWチャンス賞として栃木市のイチゴ狩り無料券、加須市の北川辺コシヒカリ、板倉町産キュウリが抽選で計三十三人に贈られる。

 今月中旬、三県境には参加者が次々と訪れていた。栃木市のホームページでスタンプラリーのことを知り、家族三人で参加した栃木県小山市の木村千尋さん(32)は「珍しい所があるんだな」と感心した様子。「イチゴ狩り無料券を当てたい」と笑顔を見せた。

 妻と一緒に他の三カ所のポイントを巡ってきたという同県佐野市の槙田宏さん(55)は「雷電神社で咲いていたロウバイを見られてよかった。道の駅で何か買っていこうと思います」と楽しんでいた。

 加須市によると、二十一日現在で三百五十人以上の参加者が到達賞を受け取った。同市の担当者は「三県境の認知度が徐々に上がり、足を運んでもらえるようになっている。週末や連休は多くの参加者を見込んでいる」と話す。

 各市町は今後も分担して三県境を活用した観光客誘致の事業に取り組む。加須市では三月末までに道の駅きたかわべに記念写真撮影用のボードを設置するほか、新年度には道の駅構内の物産販売施設の拡張や農村レストランの改修も予定。板倉町では、商品化も視野に三市町の特産品を使った「三県境バーガー」の開発を推進するという。
 スタンプラリーなどの問い合わせは加須市北川辺総合支所環境経済課=電0280(61)1205=へ。

スマホを手に3県境を訪れ、スタンプラリーを楽しむ家族連れ=埼玉、栃木、群馬県境で

「曲がる歯ブラシ」で子どものケガ抑止 5年で215件搬送 

02.24 02:00 中日新聞社

 子どもが歯磨き中に喉を突く事故を防ぐために開発された「曲がる歯ブラシ」が注目されている。歯ブラシをくわえたまま転倒するなどして、喉に突き刺さる事故は1~2歳児を中心に多発。専門家らは先端部分が曲がる歯ブラシを使うことで、けがの抑止につながると期待している。(細川暁子)

 先端部分を押すと、グニャリと曲がる子ども用歯ブラシ。歯ブラシメーカー「DHL」(大阪府八尾市)と、国立研究開発法人「産業技術総合研究所」人工知能研究センターの西田佳史さんが技術提携し開発した。

 東京消防庁によると、二〇〇九~一三年の五年間で喉やほおに歯ブラシが突き刺さるなどして歯磨き中の子どもが救急搬送された事故は二百十五件発生。うち一歳が九十九人と最も多い。西田さんが消防庁のデータを詳しく分析したところ、歯ブラシを口にくわえたまま歩いたり、走ったりして転倒した子どもが全体の約七割を占めていた。転んだ場所は布団の上が多く、イスから転落して喉に突き刺さった例もあった。

 西田さんが一歳の子どもを想定して、重りを付けた歯ブラシを落下させる実験をしたところ、立ったまま歯ブラシをくわえて転んだ場合、子どもの喉には約八十キロの負荷がかかることが判明。喉に見立てて使った鶏肉には歯ブラシがグサリと突き刺さってしまった。

 こうした喉突き事故を防ぐため、同社が持ち手の首部分に弾力性の高いゴムを使った歯ブラシを開発し、西田さんが安全性を検証。万一歯ブラシをくわえたままま転んでも、喉にかかる負荷を十分の一程度に抑えられるようにした。商品は「まがるハブラシ」と名付けて一五年六月から一本五百五十円前後でネットを中心に販売。ゼロ~三歳用と三~六歳用の二種類があり、これまでに計十二万本を売り上げた。

 八尾市の新門(しんもん)歯科医院では、半年前から「まがるハブラシ」を販売している。新門正広医師は、「習慣づけのために一、二歳の子どもが自分で歯磨きすることは大事だが、思わぬ事故も起きやすい。先端が曲がることで親も安心して使うことができ、奥歯にもしっかりと届くため磨き心地も問題ない」と話す。

都も安全対策提言 座らせ見守るのも大事

 子どもの歯磨き中の事故多発を受け、東京都は昨年7月に消費生活問題の専門家や医師、メーカー関係者による有識者会議を設置。今月14日には先端が曲がるなど歯ブラシを喉に届きにくい構造にして、安全対策を強化するようメーカーに提言する報告書をまとめた。国に対しても、子ども用歯ブラシの安全基準設置を促している。

 報告書では保護者が注意すべき点として、子どもの歯磨きは親が見守りながら座って行わせることや、踏み台やソファの上など不安定な場所で行わせないことなどをあげている。こうした中、ライオン(東京都)は15日から従来の子ども用歯ブラシ「クリニカKid’sハブラシ」を改良し、先端が曲がるようにして販売を開始。ゼロ~2歳用と、3~5歳用の2種類があり、全国のドラッグストアなどで200円前後で販売している。

先端が曲がる歯ブラシを持つ産業技術総合研究所の西田佳史さん=東京都江東区で

ネットで話題の「ユーシンブルー」 玄倉ダムの青い水面

02.24 02:00 中日新聞社

 暗いトンネルを抜けると神秘的な青い水面が広がる。丹沢大山国定公園のユーシン渓谷にある玄倉(くろくら)ダム(山北町玄倉)。光の加減でエメラルドグリーンやコバルトブルーにも輝く。「ユーシンブルー」と呼ばれる美しさがネットで話題になり、昨年から観光客が急増。町は二月、ユーシンブルーの商標登録を特許庁に申請した。 (西岡聖雄)

 玄倉ダム(堤の高さ一四・五メートル、堤の長さ三〇・五メートル、貯水量五万二千立方メートル)は発電用で、一九五八年完成。丹沢湖へ注ぐ玄倉川にある。面積は百メートル四方程度と小さい。観光地化されておらず、新緑や紅葉シーズンは、知る人ぞ知る絶景スポットだった。

 林道を歩くユーシン渓谷ハイキングコース沿いにあり、一般車は通れない。七キロ、二時間ほど歩く。長く真っ暗なトンネルも通り、懐中電灯が必需品だ。クマが出没する恐れもある。

 ネットで人気が出てきたため、町は昨夏、最寄りの玄倉バス停の横に車両五十台以上が止められる駐車スペースを設け、秋に整地した。週末は満車となり、観光バスも来るという。

 武田信玄の隠し湯と伝わる中川温泉やキャンプ場も周辺にあり、町はユーシンブルーの観光資源化と商業利用を目指して二月、観光関係者らの検討会をスタートさせた。落石防止などの安全対策にも乗り出す。
 町商工観光課の加藤哲太さん(26)は「なぜこんな色になるのか分からないが、ユーシンブルーで、世界から観光客を呼びたい」と、ばら色の青写真を描く。

 ただ玄倉ダムは現在工事中で、ユーシンブルーを拝める確率は低い。ゲートを開け、来年三月まで貯水しないためだ。管理する酒匂川(さかわがわ)水系ダム管理事務所によると、通常はダム底が見える状態。降雨で水量が増すとユーシンブルーになる時もあるが、雨量が多すぎると濁ってしまう。

 ダム以外では、玄倉バス停から歩いて十五分程度の玄倉第一発電所の上流二百~三百メートルの地点にあるせきの水も、ユーシンブルーだという。

 玄倉ダムに貯水して青い水面が復活する来年春に向け、観光地化の流れも水かさを増しそうだ。

ダム底まで見えるユーシンブルーの水面=山北町で(町提供)

山岳救助にドローン活用 あきる野市と都山岳連盟など合意

02.24 02:00 中日新聞社

 遭難した登山者の捜索などに小型無人機ドローンを役立てるため、あきる野市と都山岳連盟(千代田区)、ドローン関連企業などは23日、技術開発や操縦者育成で連携する合意書を結んだ。 (村松権主麿)

 ドローンを活用した山岳救助については昨年五月、遭難した会員の捜索を支援する日本山岳救助機構(新宿区)と都山岳連盟が試験飛行を重ね、「非常に有効」とする報告書をまとめた。今回の合意に基づき、山岳救助で使うドローンの改良やシステム開発、操縦講習の開催などを進める。

 協力するのは、ドローンの製造会社「DJI JAPAN」(港区)、鳥獣調査などのシステムを手掛ける「スカイシーカー」(板橋区)、両社の操縦者育成研修やテスト飛行に市の施設「戸倉しろやまテラス」(戸倉)を提供しているあきる野市。ドローンは、遭難者の家族などの依頼で行われる捜索に活用し、費用軽減も期待できるという。

 市役所で行われた調印式で、都山岳連盟の亀山健太郎会長は「より早く、効率のいい捜索活動をするため、一、二年でかなりのシステム化を進めたい」と説明。技術や情報、機材をやりとりする全国的なネットワークづくりも目指す考えを示した。

 一回目の講習会は五月二十、二十一両日、戸倉しろやまテラスで開催。山岳連盟関係者や山岳救助に携わる登山経験者が対象。定員三十人で先着順。受講料二万五千円のほか七千円の宿泊料などがかかる。問い合わせは日本山岳救助機構=電03(6273)1633=へ。

合意書を交わした澤井敏和市長(中)や亀山健太郎・都山岳連盟会長(右から2人目)ら=あきる野市役所で

小金井刺傷「傷ない体返して」 被告に懲役17年求刑

02.23 14:30 東京新聞

 東京都小金井市で昨年五月、音楽活動をしていた大学生の冨田真由さん(21)が刺されて一時重体となった事件で、殺人未遂罪などに問われた無職岩埼(いわざき)友宏被告(28)=群馬県伊勢崎市=の裁判員裁判が二十三日、東京地裁立川支部(阿部浩巳裁判長)であり、冨田さんが出廷して意見陳述した。検察側は懲役十七年を求刑した。判決は二十八日に言い渡される。

 冨田さんは、被告や傍聴人から姿が見えないよう、ついたてに囲まれた席で思いを語った。「傷を見る度に嫌がらせの日々や事件のことを思い出して何度も苦しくなる」「大切に積み重ねてきた全てが一瞬で奪われた。普通に過ごしていた毎日や傷のない元の体を返してほしい」と訴えた。

 陳述が始まって十分ほど過ぎると、岩埼被告が「じゃあ、殺せよ」などと声を荒らげて退廷を命じられたため、審理は一時中断。再開後も岩埼被告は不在のまま求刑が告げられる異例の事態となった。

 これまでの公判では、検察側が冨田さんの供述調書を読み上げたり、母親が後遺症に苦しむ様子を証言したりしてきたが、冨田さん自身が法廷で語ったのは初めて。時折、言葉を詰まらせながら懸命に陳述した。

 冨田さんは、初公判の前から「自分にしか話せないことがたくさんある」と代理人弁護士を通じて心境を明かしていた。被害者参加制度を使って、二十二日に意見陳述する意向を示していたが、体調不良で延期されていた。

 検察側は論告で「凶器のナイフを用意するなど計画性があり、首などを一方的に攻撃していて殺意が強い」と指摘。量刑の理由を「後遺症が残るなど被害者の将来に大きな影響を与えた」と説明した。

 冨田さんの代理人弁護士は「被告が社会復帰すればまた冨田さんや他の誰かが被害に遭う」として無期懲役が相当と意見を述べた。

 弁護側は「ナイフはお守り代わりに持っていた。冨田さんと話ができないことに絶望して、衝動的に刺した」と、計画的な犯行でなかったと主張した。

 冨田さんは、男性への恐怖心などに苦しみ、心的外傷後ストレス障害(PTSD)と診断されている。

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