体外受精でできた受精卵の全染色体を検査し、異常のないものだけを母胎に戻す「着床前スクリーニング(PGS)」の臨床研究開始を日本産科婦人科学会が発表したことを受けて、先天性神経難病の患者らでつくる団体「神経筋疾患ネットワーク」(事務局・さいたま市)は16日、PGSに反対する声明文を日産婦に提出した。
声明は「『生まれてきてもよい生命』と『生まれることが望ましくない生命』を定め、人の生命の質を選別することは誰にも許されない」と指摘。「命の選別を可能にするシステムは一度動き始めると歯止めがきかない」として、臨床研究の撤回と障害を持つ当事者の声を聞くことを求めている。
PGSは不妊治療として期待がある一方、染色体数の異常を理由に受精卵を排除する点が問題視されている。【千葉紀和】