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JR山田線の移管協力金30億円の半分以上を赤字補填に
東日本大震災で被災し運休しているJR山田線の宮古-釜石間(55・4キロ)の第三セクター、三陸鉄道(本社・宮古市)への移管について話し合う沿線首長会議が2日、大槌町役場で開かれ、JR東日本が県と沿線4市町に提供する移管協力金30億円のうち、事実上の赤字補填(ほてん)となる「運営支援」に半分以上の16億~18億円を充てることなどを決めた。
会議には4市町の首長と県、三鉄関係者が出席した。赤字補填に16億~18億円を充てることで、県と4市町の自治体負担は、移管後6年目から生じるとし、具体的な負担額はそれまでの経営状況をみて判断することになった。
移管に向けた保安車両などの導入や新たに40人を採用するなどの初期投資には7億~8億円を充てる。橋やトンネル、信号機など安全設備の更新などは3億~4億円を見込んだ。
移管後の通学定期券の価格は最大でJRの2・41倍になる見通しのため、運賃の激変緩和措置として定期代の一部補填を段階的に6年間実施。高齢者や通院利用者にも割引率の高い回数券を販売するため、1億~2億円を充てる。
残る協力金は災害対応の留保財源とする。今年度中に覚書を締結する予定で、宮古市の山本正徳市長は「納得できる内容」、三鉄の中村一郎社長は「移管に支障はない」と評価した。
山田線は平成31年3月の再開を目指し、復旧工事を進めており、完工後に三鉄に移管される。