🔻この記事の続きになります。
www.keikubi.com
研修中
気がつくと私は、
床に倒れていました。

(あれっ・・・ここは・・・・どこだっけ?)
あの時は・・・
何がなんだかサッパリわかりませんでした。
(何か声が聴こえる・・・?)
「・・オイ!大丈夫か!?」
あっ・・・
ムキムキでニコニコのインストラクターの
サイトウさんの声だ。

ちなみに、これは研修5日目の出来事です。
情けない事に私は・・・・研修中に倒れてしまったのです。

そして私はそのまま病院に担ぎ込まれました。
その日の研修の内容は
「向かい合ってお互いの悪い部分を言い合う」
というモノでした。

全国から集まった30名近くの研修生が
ローテーションしながら
10分程お互いの悪口を言い合うのです・・・が
あまりに口汚い罵り合いに、
私は疲れ果ててしまい
ついに・・・・・倒れてしまったのです。

はぁ・・・・・
1週間の研修生活のはじまり
研修には30人あまりの男女が参加していました。
ちなみに、この研修の主催は私達の会社が扱っている
「商材」を管理している親会社「A社(仮)」です。

研修中は1部屋6人での共同生活になります。

しかし、同じ会社の人間とはなるべく一緒にならないように
配置されているようでした。
私は同期の他6名の誰一人とも一緒になりませんでした。
恐らくこれは、
「他の会社の従業員と交流して欲しい」
という会社同士の思惑があったのかもしれません。
同じ部屋になった
私以外の他社研修生たちは、
お互いの会社名を聞いて
「ああーいつもお世話になっています!」
とか言っていました。

しかし大半の人が研修生といっても、
みんな「新人」ではないようでした。
のちに話を聞くと入社1年とか2年目の社員のようでした。
うちの会社はみんな新人だったのですが・・・。
みんなが自己紹介をする中・・・
色黒で黒縁メガネをかけた
一際目立つ男性がいました。
「タケルくん」(22歳)です。

私がこの研修の中で
唯一ちゃんと覚えている研修生でもあります。
あとインストラクターのサイトウさんだけは覚えています。
「おれA社のタケル、よろしくな!」
彼は最初から全員にタメ口でした。
大きな声、
喋り方から溢れる自信・・・・。
それもそのハズ、
彼は私達の親会社「A社の人間」なのですから。
会社名を聞いた途端
みんなあからさまに卑屈な態度を取り始めます・・・。

もちろん私もです!

タケルくんは自己紹介していなかった私に
「オマエどこの会社?」
と聞いてきたので、
私は
「◯◯社です。」と答えました。
すると、みんな
ん? という顔をしました。
ドキッとしました。
(え?なんだろう・・・?)

タケルくんは、何か焦った表情で
「お前・・・どこだソレ?聞いたことねえぞ?」
と言いました。
みんなも知らないようで、首をかしげています。
まぁ私も知らなかったのですが、
実は私が入社した会社は
「起業1年少々のピカピカのベンチャー企業」笑だったのです。

「うちは若い会社だ」とは聞いていましたが・・
そこまでとは・・。
それじゃあ誰も知らないハズだ・・・・。
研修生活
研修は、私達の親会社A社のスタッフさんと

外部から呼ばれた
筋肉ムキムキで
笑顔ニコニコのインストラクター
サイトウさんが務めていました。

サイトウさんは明るく快活な人でした。
サイトウさんは確か元自衛官・・・だったような・・?
しかし営業の研修にどうして筋肉が・・・・
と思ったら案の定
研修は早朝の山道ランニングから始まりました。
たしか朝の5時から8時くらい?まで走ります。

とにかくめちゃくちゃに走る・・・。
後半は走れなくなるので、ほぼ歩きなんですが・・・。
山の上まで上ると
なんだっけな・・・・
「1年後、お前がどうなりたいか叫べ!」
と言われたりました。

初日の自己紹介の時から
「とにかく腹から声を出せ!」
と言われ、
毎日ノドがヒリヒリする位、山の上で大声で叫ばされました。

ああ・・・歌を歌った日もありました。
でもまぁ・・・声をしっかり出すのは・・大事ですよねぇ。
座学
そして座学(これが案外キツかった)
勉強するのは私達が扱う商材の
商品知識と書類の書き方などなど・・・・。
あと座学が終わるごとに、小テストがあるのですが、
私は常にヘロヘロの状態で、
座学の内容が全く頭にはいってきませんでした。
なので当然、点数はボロボロでした。

そして最後に待っているのが
鬼のロープレです。
の、前に夜のゴハンがあります。
揚げ物だらけの晩御飯
晩御飯だけは個人的には最高でした。
カラアゲ・天ぷら・酢豚・トンカツ・・・・
ギットギトの油の塊に
私は大興奮でした。

タケルくんは
「なんでこんな脂っこいモンばっかりなんだよ・・」
とイライラして言っていました。

他の研修生もウンウンと同調します。
3日目には、
脂っこすぎてゴハンを残す人が続出しました。
いやぁ・・・・でも脂っこいモノってオイシイですよね!
鬼のロープレ
晩御飯を食べ終り、お風呂に入ると
また体育館にみんな集められます。
そして行われるのが
ロープレです!!!!!!

これが一応研修のメイン?になるんだと思います。
なにそれ?って思われるでしょうが・・・・・
私も語源は知りません!
たぶんロールプレイングの・・・・ロール?
「そのキャラ(役)に成りきる」
みたいな意味じゃないかと・・・。
なにかっていうと
お客さんの社長役=サイトウさんと
営業マン役=研修生に分かれて
「なりきって練習をする」っていう事ですね。

ムキムキのインストラクターサイトウさんが社長役
私たちは営業マンで「商品を売り込みます」
サイトウさんはロープレを始める前に
「オレはこころを鬼にしてお前たちの営業を断る!」
「全力で売り込みにこい!」

そんな事を言って・・・・
この人はやりたい放題始めます。
みんなの見ている前で
自分に一人ひとり営業をさせていくのですが・・・。
鬼のサイトウさんは
みんなの必死の営業に対して
ガンガンお断り(アウト)を入れてきます。
「うるせえ!かえれ!!!」
「お前の話聞いてる時間がもったないんだけど?」
「声が小さくて聞こねえんだよ、ヤル気ねえなら帰れよ!」

などなど、暴言吐きまくりでした。
かと言ってすぐ諦めてしまうと、
「何してんだ!やりなおせ!」
と言われます。
(それ研修とか関係なくストレス発散にやってるんじゃ?)
とかちょっと思ってしまいました。

みんなが見ている前で「営業をする」
っていうのは・・かなり精神的にくるものがあります。
私は平気でしたが・・
私の新人の同期達はどうだったんでしょうか・・・。
ちなみにタケルくんはやっぱりお話が上手で
どんな暴言を吐かれても
「そこをなんとか!!!」

と粘って粘って粘って・・・・・・・・・・
30分後
なんと鬼のサイトウさんも、タケルくんの粘り強さに折れたのか
「わぁかった!お前と契約してやるよ!」
と研修生の中で唯一契約までこぎつけていました。

研修生のみんなも、その光景を見て、
「おおお~」と盛り上がります。
私もビックリしました。
(すごい・・タケルくんは頑張るなぁ・・・)
こうして、サイトウさんとタケルくんは
契約のために書類を交わす事になるのですが・・・・・。
しかし!
契約書を書いている途中・・・・・
サイトウさんが突然
「あっ」と言いました。

みんなビックリしてサイトウさんを見つめます。
するとサイトウさんは
「お前の字きたねえから、契約やめるわ~」
と言い出して
タケルくんの目の前で
契約書をビリビリッと破り捨ててしまいました。

ああ・・・サディスト
タケルくんは苦笑いしていました。
毎晩行われるこの愉快なロープレは
みんなの心をガリガリ削っていったようです。
ポイント制度
その日、
共同部屋に戻ると、
タケルくんがイライラしながら
みんなの前でこう言いました。
「お前らはいいよなぁ!!・・気楽でよぉ・・・・・」

話を聞くと、
タケルくんはA社(親会社)の人間だから
みんなよりポイントが低いと怒られてしまうんだとか・・。
(そうかぁ・・だからタケルくんは必死だったのか・)
うんうん
(ポイント!?)

初耳でした・・・なんとこの研修

A社の人達にポイントで評価され
そのポイントと研修生の順位が会社に報告されるそうなのです!
(ああ・・・・マズイ・・部長に殺される)

そう思いましたが、もう後の祭りでした・・・
三色ボールペンで刺された左胸がズキズキと痛みます。
消灯前のトランプ
しかし3日も寝食を共にすると、
みんなもそれなりに気心が知れてきます。
ワキアイアイ
誰かが持ってきたトランプで
消灯前に遊んだりしていました。

私はもうこの時にはフラフラの状態でしたが、
何か楽しかった事を覚えています。
私はモチロンこの共同部屋でも浮いた存在でしたが、
他のみんなは、メールや携帯番号等を交換して
友情を深めていたようでした。
疲れ疲れ疲れ
なんやかんやで4日が過ぎて
ここまで何とかやってこれましたが・・・・。

私の疲れはピークに達しようとしていました。
なにせココ数ヶ月の間に
婚約者と修羅場になり別れ
同僚の死を知り
会社を辞め
就職活動
新しい職場
そしてこの厳しい研修・・・・
と立て続けに
負担がかかる事件が重なってしまったからです。
🔻婚約者の話の記事はコチラです。
www.keikubi.com
🔻転職活動と同僚の死の話はコチラの記事になります。
www.keikubi.com
まぁ全て自分の責任ではあるのですが・・・・
こういう精神的、肉体的負担が重なったおかげで
この時期に
「警察官をクビ」になってから長いお付き合いをしている
「うつ症状」が悪化してしまったのです。

この研修中は疲れのせいか、かなり症状が酷く
もうフラフラで意識が飛びそうになったり、
4日目には立っているのがやっとの状態でした。
5日目
フラフラになりながら、
早朝のランニングを何とかこなしました。

そして事件は5日目の昼に起きました。
座学と小テストを終えて、
お昼を食べて、
その日も教場?に集まると
サイトウさんとA社のスタッフが笑顔で待ち構えています。

「はい、じゃあみんな!」
サイトウさんが手をパンパンッと鳴らします。
そして確か・・
こんな事を言っていたように思います。
「もう共同生活も5日目になりましたので、
お互いの事がよくわかってきた頃だと思います・・。」
「なので!」
「今日はみなさんに、
お互いの悪いところを指摘しあってもらいます!」

あの・・・・
サイトウさんの楽しそうな笑みだけは忘れられません。
この人好きなんだろうなぁ・・・(この仕事が)

まぁ・・・・この時のわたしには・・・
そんな事を考えている余裕もなく・・・
この数時間後に倒れてしまうんですが・・・。
つづく