中世の街並みと紺碧の海に憩う、ジブリ映画の舞台ドゥブロヴニク
- クロアチア・ドゥブロヴニク
- 2017年1月19日
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旧市街のメインストリート、プラツァ通りから一本奥に入った、レストランが並ぶ小道
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旧市街を一望にするスルジ山からの眺め。サンセットを狙って訪れる人が多い
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1991年の紛争で破壊され、再び建造された、スルジ山のナポレオンの十字架
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ロクルム島とドゥブロヴニクの旧市街を行き来する定期船
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ロクルム島の海水浴場にはビーチベッドはなく、岩に架けたハシゴから海へ入ります。
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バビン・クック地区には数軒のホテルやショッピングモールが入った、リゾートコンプレックスがあります
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ホテルではプールサイドで過ごすのが主流。海で泳ぎたくなったら、ホテルのふもと小さな入り江へ
“アドリア海の真珠”と称されるクロアチアのドゥブロヴニク。オレンジ色の甍(いらか)でびっしりと埋め尽くされた旧市街は、アドリア海の深いブルーと、鮮やかなコントラストをなしています。スタジオジブリのアニメ映画『紅の豚』のモデルになったといわれる、あの街です。
ドゥブロヴニクの旧市街は海に浮かぶ、いわゆる飛び地領土。周囲約2キロの堅牢な城壁に囲まれ、3カ所で本土と橋で結ばれています。メインのピレ門から旧市街に入ると、そのまま石畳の目抜き通りのプラッツァ通りにつながり、その両サイドに脇道が幾筋も走る造り。
旧市街ではあえて迷子になるように、地図も見ずにふらりと細い路地に入ってみるのも、楽しみのひとつ。石造りの建物の合間を縫うようにして走る小道に、ブティックやジェラート店、土産物店が、地元の生活圏に紛れ込むように点在しています。目抜き通りと並行したレストランが連なる小道では、観光客が去った後の遅い昼下がりに、近所同士でゆっくりとランチと語らいを楽しむ光景が。にぎわいの中にも、地元の暮らしが垣間見られます。
ドゥブロヴニクの旧市街は、過去に幾度となく、災難に見舞われてきました。17世紀には大地震と津波によって街の約7割が崩壊。その後、みごと復興を果たし、中世の名残が薫る街並みは1979年に世界遺産にも登録されました。
しかし12年後の1991年、ユーゴスラビア紛争で7カ月にわたり激しい砲撃を受け、多くの若者たちの犠牲に加え、街も壊滅的な被害を受けました。その惨憺(さんたん)たる状況は「危機にさらされている世界遺産リスト」に名を連ねたほど。けれど、ドゥブロヴニクの人々は強かった。わずか3年でその不名誉なリストから名前を消させ、復活を果たしました。
ドゥブロヴニクには残念ながら、白砂のロングビーチはありません。けれども、アドリア海の濃いブルーを眺めながら、のんびりと楽しめるビーチがあります。旧市街近くで海気分を味わうなら、本土の東側にあるバニェビーチか、ボートで渡るロクルム島へ行くことになります。
沖合700メートルに浮かぶロクルム島は、ボートで約20分、便数も豊富にあり、気軽に訪れることができます。夏のシーズン時の船上は、旧市街の喧騒(けんそう)から逃れてのんびりしたい旅行者で満杯状態。ロクルム島はかつてナポレオンの要塞(ようさい)が築かれたこともあったそうで、松や杉の木立の中に残された修道院の廃虚など、どこかノスタルジックな風情も味わえます。
ロクルム島の海水浴場は岩礁。ゴツゴツとした岩の上にどうにか横たわり、泳ぎたくなったら、岩に設置されたスチールのハシゴでラムネのガラス瓶のような色の海へ入ります。ちなみに、この島にはヌーディストビーチもあるそうです。
また、旧市街から車で北西へ約15分のバビン・クック地区には、施設が充実したホテルやヴィラが集まるリゾートエリアがあります。海を見下ろす高台に立ち、ゆっくりと進む大型客船や風光明媚な島影をめでられます。丘のふもとにこぢんまりとしたビーチがありますが、プールサイドで楽しむ眺望系といえそうです。
ドゥブロヴニクでは海で泳ぐというよりも眺める、そして歴史的な街を散策し、ホテルライフを満喫する、陸も海も楽しむ休日におすすめです。
PROFILE
- 古関千恵子 Chieko Koseki
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リゾートやカルチャー、エコなどを切り口に、国内外の海にフォーカスした読み物や情報を発信する自称「ビーチライター」。ダイビング雑誌の編集者を経てフリーとなり、“仕事でビーチへ、締め切り明けもビーチへ”を繰りかえすこと四半世紀以上。『世界のビーチ BEST100』(ダイヤモンド・ビッグ社)の企画・執筆、『奇跡のリゾート 星のや 竹富島』(河出書房新社)の共著のほか、ファッション誌(『Safari』『ELLE Japon』など)やウェブサイトに寄稿。海外のビーチを紹介するサイト「世界のビーチガイド」 http://www.world-beach-guide.com/では、日々ニュースを発信中。
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