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マイナンバー機構の監督強化 総務省、立ち入り検査や罰金 改正法案概要

産経新聞 1/19(木) 7:55配信

 総務省がマイナンバーカードの管理システムを運営する「地方公共団体情報システム機構」に対し、監督機能の強化や統治の徹底を明記した改正法案の概要が18日、分かった。マイナンバーカードの発行遅れやシステム障害などが相次いだ問題を踏まえ、総務省が立ち入り検査や罰金を科すなど、機構への関与を強める狙いだ。

 政府は20日召集する通常国会に、マイナンバー法▽地方公共団体情報システム機構法▽住民基本台帳法-の一部改正案を提出する。改正案では、マイナンバーカードの発行や省庁間の情報連携などの事務作業について、総務省が機構に対し報告書の作成や公表を義務付ける。不備があった場合は総務相が監督命令や報告要求、立ち入り検査などができる規定を設け、機構が応じない場合には30万円以下の罰金を科すことも盛り込む。

 また、機構執行部の監督や任命、解任などができる「代表者会議」の権限を強化。機構の理事長に対し是正措置命令や役員を解任できる事由を拡大する。これまではシステム障害など、機構の内部事務と直接関係しない事案の場合、代表者会議には処分する権限がなかった。改正により、内部事務以外のマイナンバー関連事務でも措置命令などを出せるようにする。このほか、機構内に個人情報保護などマイナンバーの情報漏洩(ろうえい)を監視する有識者会議を設置し、機構執行部の統治強化を図る。

 機構では番号通知カードの配達が始まった平成27年10月以降、カードの印刷漏れなどマイナンバー関連のミスやトラブルが相次いだ。だが、総務省は「機構は地方自治体が共同で設立しており、(総務省に法律上の)権限はない」(高市早苗総務相)としてきた。

 政府は7月から、国の機関や都道府県、市町村が持つ納税や年金などの情報をマイナンバーで結び付ける情報連携を始める。30年度以降は、健康保険証とマイナンバーカードの一体化も進める方針を示している。マイナンバーの事務作業が増えることに伴い、トラブルやミスの増加も懸念されている。このため高市総務相は昨年12月、関連法を改正する方針を表明。機構への監督権限を強め、マイナンバー制度の円滑な運営を図る考えだ。政府は情報連携が始まる前の6月中に関連法の成立を目指し、7月までに施行する方針だ。

最終更新:1/19(木) 10:15

産経新聞