【大連=原島大介】中国の複数の旅行予約サイトで18日、ビジネスホテル大手、アパグループ(東京・港)のホテルが予約できなくなった。客室内に南京大虐殺を否定する本を置いたとして、中国で批判が起きたことへの措置。今月27日から始まる春節(旧正月)休みを前に、アパグループの業績に影響が出そうだ。
予約ができなくなったのは、最大手の「携程旅行網」(シートリップ、上海市)など複数の大手予約サイト。「アパホテル」と検索しても「お探しのホテルは、値段がつけられません」などと表示される。
シートリップの問い合わせ担当者は同日、「アパグループは反中国的な問題にかかわっており、(予約停止の)対応をとった」と説明。反発が強まる国内世論に配慮したことを認めた。
問題となったのはアパグループの元谷外志雄代表の著書で、南京大虐殺は存在しなかったとの記述がある。この本を紹介した動画がインターネット上に投稿されたのをきっかけに、批判が起きるようになった。
元谷代表は日本経済新聞の取材に対し、「事実だと信じることを書いた」と説明。「(客室からの撤去などは)今のところ考えていない」としている。
中国では27日から旧正月を祝う大型連休に入り、期間中は多くの中国人観光客が日本を訪れる見通し。ホテル業界にとっては繁忙期にあたるだけに、今回の対応はアパグループの業績低下につながる恐れがある。