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心理統計法('17)

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主任講師
豊田 秀樹 (早稲田大学教授)
放送メディア
テレビ
放送時間(平成29年度)
第1学期:(土曜)14時30分~15時15分

講義概要

心理学はデータに基づいて心のメカニズムを研究する学問です。この目的のためのデータ分析法について講義します。従来の心理統計法の初年度の講義は、有意性検定の利用を前提としていました。しかし本講義には有意性検定が登場しません。ベイズ流のアプローチで学習系列が展開されます。もちろんt分布・F分布・カイ2乗分布は登場しません。その点で本講義はとてもユニークですから、はじめてデータ分析に入門する方ばかりでなく、長くデータ分析をしてきた方の統計学再入門のための授業としても利用していただけます。
※詳しくはシラバス

開設年度
平成29年度
科目区分
コース科目(心理と教育コース(専門科目))※共用科目(人間と文化)
〔2009年度~2015年度〕専門科目(心理と教育コース)※共用科目(人間と文化)
〔2008年度以前〕 専門科目(発達と教育専攻)※共用科目(人間の探究)
科目コード
1529196
単位数
2単位
単位認定試験
試験日・時限
平成29年度 第1学期:平成29年7月29日(土曜)1時限(9時15分~10時05分)
単位認定試験
平均点
備考
 
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授業の目標

心理学の研究で利用される代表的な統計手法として「データの記述」「正規分布」「独立した2群の差」「相関係数」「対応ある2群の差」「実験計画法」「比率・連関」「回帰分析」などを学習します。座学だけでは実技は身につきませんので、章末の実習の課題を行うことによって、これらの手法に実際に接してください。

履修上の留意点

本講義での数学的説明には、微分・積分・シグマ記号・行列・ベクトル演算など高度な数学を使いません。本講義は受講者が統計解析環境R、rstan、stanで実習することを想定しています。配布されるデータとスクリプトを入手して、学習に役立ててください。

シラバス

テーマ 内容 執筆担当講師名
(所属・職名)
放送担当講師名
(所属・職名)
1 データ分布の要約 実験・調査・観察などによって収集したデータの特徴を記述するための方法について学習する。分布の代表値としては平均値・中央値・最頻値を、散布度としては分散・標準偏差を解説する。

【キーワード】
知覚時間、測定、度数分布、ヒストグラム、要約統計量、代表値、平均値、中央値、最頻値、外れ値、分散、標準偏差、α%点、四分位、範囲、密度関数、分布関数、正規分布、標準化、母数、予測区間、一様分布、データ生成分布
豊田 秀樹
(早稲田大学教授)
豊田 秀樹
(早稲田大学教授)
2 事後分布とベイズの定理 理論分布の一般的性質をしらべた後、同時分布・条件付き分布を学び、それを利用してベイズの定理を導入する。尤度・事前分布・正規化定数・事後分布の意味を確認し、3囚人問題という具体的な問題を考える。

【キーワード】
同時分布、条件付き分布、ベイズの定理、尤度、事前分布、正規化定数、事後分布、最尤推定、周辺分布、公的分析、私的分析、無情報的事前分布、3囚人問題
豊田 秀樹
(早稲田大学教授)
豊田 秀樹
(早稲田大学教授)
3 1群の正規分布の分析 本章では主として2つのことを学習する。1つはマルコフ連鎖モンテカルロ法による事後分布の評価方法と解釈方法である。その際、乱数の収束判定指標について学ぶ。もう1つは正規分布における平均・標準偏差の推測の方法である。その課題を通じ、 EAP、 MED、MAPによる点推定、確信区間による区間推定、予測分布による予測区間を学ぶ。

【キーワード】
MCMC、ハミルトニアンモンテカルロ法、ウォームアップ期間、トレースプロット、収束判定指標、有効標本数、事後期待値、事後中央値、事後確率最大値、事後標準偏差、確信区間、事後予測分布、条件付き予測分布
豊田 秀樹
(早稲田大学教授)
豊田 秀樹
(早稲田大学教授)
4 生成量と研究仮説が正しい確率 間隔尺度と比率尺度の違いを学んだ後に、生成量を利用して、分散・変動係数・効果量・分位点などの点推定・区間推定を行う。基準点・基準確率の設定がデータ分析にとって有用であること、研究仮説が正しい確率を計算することによってデータに対する理解が深まることを学ぶ。

【キーワード】
生成量、間隔尺度、比率尺度、変動係数、基準点、基準確率、研究上の問い、実質科学的知見、研究仮説、分散、分位点、%点、メタ確率、基準点との比、研究仮説が正しい確率、論文レポートでの報告文例
豊田 秀樹
(早稲田大学教授)
豊田 秀樹
(早稲田大学教授)
5 2群の差の分析1 調査研究や実験研究で多く用いられる独立した2群の差の推測方法を、2回にわたって解説する。独立とは、この場合、互いに影響し合わずに測定がなされることである。統計モデルの観点からは、標準偏差が共通しているモデルと、標準偏差が異なるモデルの2種類に大別される。

【キーワード】
独立した2群、実験群、対照群、処理、暴露、介入、属性、ボックスプロット、平行箱ひげ図、四分位範囲、外れ値、標準偏差が共通、標準偏差が異なる、平均の差
豊田 秀樹
(早稲田大学教授)
豊田 秀樹
(早稲田大学教授)
6 差を解釈するための指標 前回の続きで、独立した2群の差の推測方法を論じる。その過程で効果量、非重複度、優越率、閾上率など、差を解釈するための幾つかの概念が登場する。さまざまな研究上の問いと、これらの指標との関係を理解し、群間差に関するきめの細かい情報をデータから引き出すことを目的とする。

【キーワード】
効果量、標準化された平均値差、非重複度、優越率、閾上率
豊田 秀樹
(早稲田大学教授)
豊田 秀樹
(早稲田大学教授)
7 相関と2変量正規分布 2つの変数の重要な要約的観点である相関関係を学習する。その過程で、平均偏差データ、標準化データ、共分散、相関係数などの統計量が登場する。さらに2変量正規分布を使った統計的推論の基本を理解し、次の章で学習する対応ある2群の差の推論に備える。

【キーワード】
知覚された長さ、対応ある2群、2変量データ、散布図、共分散、正の相関関係、無相関、平均偏差データ、標準化データ、相関係数の範囲、2変量正規分布、標準2変量正規分布
豊田 秀樹
(早稲田大学教授)
豊田 秀樹
(早稲田大学教授)
8 2群の差の分析2 心理学では、被験者や、ブロックや、その他の対象に関して、しばしば対応ある測定がなされる。今回は対応ある2群の差の推測方法について学習する。差得点の標準偏差、差得点の効果量、差得点の優越率、差得点の閾上率などの考え方に着目し、理解を深めていく。さまざまな研究上の問いと、これらの指標との関係を理解し、対応ある2群の差に関するきめの細かい情報をデータから引き出すことを目的とする。

【キーワード】
差得点の標準偏差、差得点の効果量、差得点の優越率、差得点の閾上率
豊田 秀樹
(早稲田大学教授)
豊田 秀樹
(早稲田大学教授)
9 1要因実験の分析 心理学では、実験を用いて研究を行うことが多く、さまざまなデータ収集法がデザインされている。それらの技法について2回にわたって解説する。1回目は、1つの要因を扱うデザインを論じる。

【キーワード】
実験計画法、要因、因子、独立した1要因計画、水準、水準数、誤差標準偏差、アンバランスデータ、水準の効果、説明率、連言命題
豊田 秀樹
(早稲田大学教授)
豊田 秀樹
(早稲田大学教授)
10 2要因実験の分析 前回の続きで、2つの要因を扱う実験デザインとその分析法について学習する。2要因の実験デザインでは、要因の間の交互作用・単純効果・多重比較・連言命題が正しい確率が重要な役割を果たすので、その意味・解釈・評価について解説を行う。

【キーワード】
独立した2要因計画、全平均、主効果、セル、交互作用、モデルの制約
豊田 秀樹
(早稲田大学教授)
豊田 秀樹
(早稲田大学教授)
11 2項分布による分析 2項分布を利用したデータ解析法を学習する。賛成・反対のような計数データの比率の分析法を学んだ後、複数の2項分布の差の推測に関する技法を身につける。また比率の差・比率の比・オッズ比についても、その概念と使用方法を理解する。

【キーワード】
カウントデータ(計数データ)、計量データ、連続分布、離散分布、階乗、ベルヌイ試行、ベルヌイ分布、2項分布、比率、オッズ、比率の差、比率の比、オッズ比、クロス表
豊田 秀樹
(早稲田大学教授)
豊田 秀樹
(早稲田大学教授)
12 多項分布による分析 多項分布を利用したデータ解析法を学習する。血液型のような3つ以上の値をとる計数データの推測を学んだ後、対応あるクロス表の独立と連関の概念を身につける。またピアソン残差、クラメールの連関係数の使用方法を理解する。

【キーワード】
多項分布、カテゴリ間の比較、対応があるクロス表、同時度数、周辺度数、同時確率、周辺確率、独立と連関、ピアソン残差、クラメルの連関係数
豊田 秀樹
(早稲田大学教授)
豊田 秀樹
(早稲田大学教授)
13 単回帰分析 いっぽうの変数から他方の変数を予測・説明するための回帰分析法を2回に渡って学習する。1回目は予測するための変数が1つの場合である単回帰分析を紹介する。回帰係数の意味、予測値と予測分布の相違、決定係数や残差の解釈などを学ぶ。

【キーワード】
単回帰分析、単回帰モデル、回帰直線、予測値、回帰係数、切片、予測変数、独立変数、基準変数、従属変数、誤差変数、残差、残差プロット、決定係数
豊田 秀樹
(早稲田大学教授)
豊田 秀樹
(早稲田大学教授)
14 重回帰分析 前章の続きで回帰分析の後半を学習する。今回は予測に利用する変数が2つ以上ある重回帰分析に焦点をあてる。多変量データの要約的表現を紹介し、続いて重回帰モデルの意味、重相関係数の解釈、標準偏回帰係数と相関係数の相違、変数選択などを学ぶ。

【キーワード】
多変量データ、多変量散布図、相関行列、共分散行列、重回帰分析、重回帰モデル、重回帰式、重相関係数、偏回帰係数、標準偏回帰係数、過学習、変数選択、3次元散布図、回帰平面
豊田 秀樹
(早稲田大学教授)
豊田 秀樹
(早稲田大学教授)
15 発展的学習によせて 本書を読了した後、読者が自身で勉強を続けるには、どうしたらよいのだろう。本章では2つの内容を学習する。第1に、これまでの学習内容の位置付けをする。第2に、更なる学習のための展望を行う。

【キーワード】
構成概念、潜在変数、因子分析法、因子負荷、パス図、パス解析、外生変数、内生変数、共分散構造分析、コンジョイント分析、決定木、ロジスティック回帰分析、機械学習、ニューラルネットワーク
豊田 秀樹
(早稲田大学教授)
豊田 秀樹
(早稲田大学教授)
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