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田岡俊次の戦略目からウロコ

トランプ氏のモスクワでの変態行為はロシアのワナか

田岡俊次 [軍事ジャーナリスト]
【第74回】 2017年1月19日
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「ミス・ユニバース機構」のオーナーでもあるトランプ氏。モスクワで開かれたミス・ユニバース・コンテストに出席した同氏は、宿泊先のモスクワ・リッツカールトンホテルの要人用特別室にコールガールを呼んで異常な性行動に及んだというのだが……    Photo:REUTERS/AFLO

 1月20日の米大統領就任式を前に、同11日ドナルド・トランプ氏が当選以来74日目に初めて行った記者会見は極めて異様だった。

 会見が始まる前、ホワイトハウス広報担当に就任予定の人物が「左翼ブログがわいせつで完全に間違った情報を流している」などとメディアを批判した。

 次いで演壇に立ったトランプ氏はCNNテレビの著名な記者の質問に対し「あんたじゃない」と言い、他の記者に当てようとした。その記者が「報道機関を攻撃するなら、質問の機会をいただけませんか」と言うのに対しトランプ氏は「無礼をするな。あんたには質問はさせない。あんた方は偽ニュースだ」と怒鳴った。

 トランプ氏が「偽ニュース」と言っているのは何のことか。日本の主要メディアは「トランプ氏の不名誉な個人的情報」などと報じたが、これでは表現が上品に過ぎて事態の核心が全く分からない。

 実はトランプ氏がモスクワのホテルの特別室に複数のコールガールを入れ、“Golden Shower”(放尿)をさせるなど乱痴気騒ぎをしたのを、ロシア情報部が隠しカメラで撮影していた、というのがCNNなどの報道の内容だった。

 これが事実であれば、次期米大統領はロシアに致命的な弱味を握られていて、その操り人形にもなりかねない。1998年に当時のビル・クリントン米大統領が研修生のモニカ・ルインスキーとホワイトハウスの書庫で戯れていた事件が発覚したが、これは全く私的な非行にすぎなかった。

 だがロシア情報機関に変態的な性的行為の映像を撮られたとすれば、それは米国の対露政策に影響しかねない。米国の同盟国など他の諸国も米大統領がロシアの工作員となっている疑いを抱きつつ接する必要が生じるから、事実なら世界史的な大事件だ。

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田岡俊次 [軍事ジャーナリスト]

1941年、京都市生まれ。64年早稲田大学政経学部卒、朝日新聞社入社。68年から防衛庁担当、米ジョージタウン大戦略国際問題研究所主任研究員、同大学講師、編集委員(防衛担当)、ストックホルム国際平和問題研究所客員研究員、AERA副編集長、編集委員、筑波大学客員教授などを歴任。動画サイト「デモクラTV」レギュラーコメンテーター。『Superpowers at Sea』(オクスフォード大・出版局)、『日本を囲む軍事力の構図』(中経出版)、『北朝鮮・中国はどれだけ恐いか』など著書多数。


田岡俊次の戦略目からウロコ

中国を始めとする新興国の台頭によって、世界の軍事・安全保障の枠組みは不安定な時期に入っている。日本を代表する軍事ジャーナリストの田岡氏が、独自の視点で、世に流布されている軍事・安全保障の常識を覆す。さらに、ビジネスにも役立つ戦略的思考法にも言及する。

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