過去5年間、DeNA では R&D 的な立場から、様々な基盤的ソフトウェア(オープンソースになったものもありますし、クローズドなものもあります)の開発に携わってきました。
最近2年間は、同社のゲーム用サーバに端を発するオープンソースの HTTP/2 サーバ「H2O」の開発に従事してきましたが、その実装品質が高く評価され、世界有数のコンテンツ配信ネットワーク(CDN)である Fastly で採用された他、大規模なウェブサービス事業者で採用にむけた動きが進むなどの成果が出つつあります。
また、H2O における実装経験をもとに、HTTP プロトコルの拡張をインターネットプロトコルの標準化機関である IETF に提案し、ワーキンググループでの検討が行われるという状況にもなってきています注1。
ソフトウェアの技術開発で世の中を前に進めようとするならば、ただコードを書くだけでは不足です。使い手にとって便利なように、実地において効率良く動作するように、改善していくことが必要不可欠です。標準化プロセスにおいても、多様な実在するワークロードを元に効果を証明できることが、説得力の点で重要になります。
これらの点に鑑みると、H2O という育ちつつある芽を大きく花咲かせるために、自分が今、身を置くべき場所は、DeNA ではなく、H2O の世界最大の利用者であり、世界有数の規模の HTTP トラフィックを裁く事業者であり、HTTP を高度に運用することを事業のコアとしている Fastly なのではないかと考え注2、転職を決意するに至りました。
転職したといっても、このような経緯なので、職務の内容が何か変わるわけではありません。これまでと同様に、オープンソースソフトウェアである H2O の開発をリードしていくのが僕の役割になります。Fastly 社内でしか得られない知見や実験の成果もオープンソースとして H2O に還元され、あるいはプロトコルの拡張として標準化を提案していく予定です。
今後ともよろしくお願いいたします。引き続き東京ベースで活動しますので、何かありましたら気楽にお声がけください。
また、末筆になりますが、H2O の開発をこれまで支え、笑顔で送り出してくれた DeNA の上司と同僚にはありがとうを伝えたいと思います。開発は DeNA 社内でも引き続き行われます。
注1: Cache Digests for HTTP/2, Call for Adoption: Early Hints (103)
注2: HTTP サーバのどの側面に注力したいかによって摂るべき選択肢は変わると思いますが、僕の場合、最近の活動はサーバとアプリケーションの間よりも、サーバとクライアントの間の通信改善に関わるものが多くなってきていました。
注2: HTTP サーバのどの側面に注力したいかによって摂るべき選択肢は変わると思いますが、僕の場合、最近の活動はサーバとアプリケーションの間よりも、サーバとクライアントの間の通信改善に関わるものが多くなってきていました。
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