朝日新聞の1月4日付朝刊に「『経済成長』永遠なのか」という見出しの特集記事が掲載された。《ゼロ成長はそれほど「悪」なのか》《いまのような経済成長の歴史が始まったのは200年前にすぎない》《成長の鈍化はむしろ経済活動の「正常化」を意味しているのかもしれない》といった論評が展開されている。
これは戦後の左翼系の識者がしばしば行ってきた「成長不要論」とよく似ている。
1970年代の石油ショックの直前、日本経済が急発展を続けていた頃、朝日は「くたばれGNP」という連載を行っていた。朝日はいまでも経済成長しない世の中で問題はないと考えているのだろうか。
経済成長が全ての問題に万能というわけではないが、それでも成長しないケースと比べると、ある程度の問題を解決できる。
ボウリングでたとえれば、経済成長は1投目でセンターピンを倒すのに相当する。1投目でセンターピンに当たった場合、うまくいけばピン全てを倒すことができ、そうでなくても7、8本を倒して2投目でスペアが取りやすい。逆に、1投目でセンターピンを外すとスペアを取る確率が低くなる。
経済成長は国民全ての所得を増やすことになるので、弱者を助ける分配問題においても、パイが大きくなれば解決が容易になる。