【概要】
今年度のSPARC Japanセミナーでは,年間テーマの「オープンサイエンス時代の文献とデータの流通 : 科学的知識創成の新たな標準基盤へ向けて」に対し,第1回セミナー「オープンアクセスへの道」では,グリーンオープンアクセスとゴールドオープンアクセスの関係性や担うべき役割について議論がなされ,国内研究者のAPC支払額の把握とSCOAP3モデル発展の必要性などが確認された。
第2回セミナー「研究データオープン化推進に向けて : インセンティブとデータマネジメント」では,データ・サイテーション,データ・ジャーナル,データ・オーナーシップなど研究者へのインセンティブのあり方や,それを支える研究データ管理の具体的方策(オープン化にかかるコストとのバランス,研究データ管理に対する報酬等),などが議論された。
第3回セミナーでは,上記を受けて,一年間のSPARC Japanセミナーを総括し,オープンサイエンスを「しなければならないこと」「すべきこと」「したほうが利益があること」「せざるを得ないこと」など多角的に再考することで,オープンサイエンスの先にある科学的知識創成の新たな標準基盤について考えてみたい。
* 標準基盤 : 学術研究(=科学的知識創成)を支援する基盤は,それを構築するプロセスにおいて,多分にボトムアップな活動によって構築され,いずれは利用者に意識されることなく学術研究の環境として位置付けられていく。このようなプロセスが,インターネットスケールで起こっているのが現在であり,地域や学術分野を越えて,学術環境のスタンダードを確立する活動が芽吹いている。本セミナーではこのような活動がもたらすスタンダードを標準基盤と定義する。
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