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2017年01月06日 08時27分 UPDATE

「取り組んだら『放すな』、殺されても放すな」――電通の「鬼十則」、葬り去って良いのか 歴史・内容を検証すると…… (1/4)

過労体質の元凶と非難された電通の「鬼十則」。《取り組んだら「放すな」、殺されても放すな》などと過激な表現が並ぶが、その真意は。

[産経新聞]
産経新聞

 大手広告会社、電通の新入社員の高橋まつりさん=当時(24)=が過労自殺し、過労体質の元凶と非難された「鬼十則」。《取り組んだら「放すな」、殺されても放すな》などと過激な表現が並び、批判を浴びたことから、電通は社員手帳への掲載を取りやめてしまった。ただ、鬼十則が説いた仕事への姿勢や熱意までなくなってしまわないだろうか。考案した第4代社長の吉田秀雄氏の経歴や実績を見直してみると、鬼十則に込められた真意がうかがえるのだ。

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43歳で社長就任、「PR」を導入

 電通の社史『電通100年史』(平成13年出版)は、「第三編 飛躍の軌跡」の中で吉田氏の功績をたたえている。

 社史によると、吉田氏は戦後すぐの昭和22年6月、43歳で社長に就任。戦時中の広告代理業の整備統合問題や新聞広告料金適正化問題で敏腕を振るい、「電通に吉田あり」と評価されていたという。

画像 電通の吉田秀雄第4代社長(『電通100年史』から)

 「広告業は文化水準を低く見られてきているのであります。電通がその仕事振りによって広告業の文化水準を新聞と同じまでに引き上げたい」

 吉田氏は、社長就任の挨拶でこう述べた。現在の広告業の華やかりし有様を見ると、隔世の感がある。

 当時の業務開始は午前9時。しかし吉田氏は社長就任後、幹部らの打ち合わせ会議を同8時から始めたため、「こんなに朝早い時間に銀座を歩いているのはモク拾い(吸い殻拾い)と電通の社員だけだ」との評判が立つほどだった。

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