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新経連・三木谷浩史代表理事「あり得ない」会見ドタキャン ビジネスマナー欠如の対応に非難囂々

産経新聞 1/2(月) 11:15配信

 情報技術(IT)、インターネットビジネス企業を中心とした経済団体、新経済連盟(新経連)の三木谷浩史代表理事(51、楽天会長兼社長)が昨年12月14日に開催された定例記者会見を欠席し、物議を醸している。理由説明もなく、会見開始5分前まで欠席することを知らせない“ドタキャン”に加え、その後、記者に対する三木谷氏の謝罪や説明もないまま。このビジネスマナー欠如の対応に、記者からは「新経連は経済団体を名乗る資格がない」という批判が出る異例の事態となった。

 定例会見の開始予定時刻とされたのは午前10時45分。だが、ほとんどの記者は10時半には、会場前の受付を通って、集合していた。というのも会見案内には、「会合終了次第の開始となるため、開始・終了時間が10分ほど前後する可能性のあること」も明記されていたからだ。

 三木谷氏が会見に出席しないことがわかったのは午前10時40分過ぎ。ムービー撮影のために機材や撮影スタッフをスタンバイさせていたNHKの記者が、カメラのセッティングのため、事務局の広報担当者に「三木谷さんはテーブルのどこに座るんですか」と質問。すると、担当者は「中央にはネクストの井上(高志社長)さんが座ります」と答えたのだ。

 そのやりとりを聞いていた別の記者が「三木谷さん、まさか会見に来ないということはないよね」と質問すると、その広報担当者は「三木谷は急用で、会見を欠席します」と、何事もなかったかのように淡々と答えた。これには会見場にいた記者のほとんどが「ポカン」とあっけにとられるありさまで、記者が「欠席する理由を説明してください」と聞くと、担当者は「急な用事が入ったため」と繰り返すばかりだった。

 「どういうつもりだ」「会見のドタキャンなんて、一般の企業でもよっぽどのことだ」「三木谷さんが急病で倒れたとかならキャンセルもわかる。納得のいく理由を説明してほしい」

 会見場は記者の怒りが爆発。「三木谷さんは直前の会合には参加してたのですか」という質問には「はい、参加していました」との回答だった。

 そして会見が始まったのが予定時間より20分も遅れた午前11時4分。三木谷氏の姿も、副代表理事である藤田晋サイバーエージェント社長の姿もなく、5人いる理事の1人であるネクストの井上社長が三木谷氏に代わって質問に答えた。

 だが、新経連が提言したばかりの目玉政策である相乗りサービス「ライドシェア」について、その意義や課題を記者が質問しても、井上氏は「事務局から説明させます」と述べるだけ。さすがに、映像をとろうとするテレビ局の記者が、井上氏に発言してもらいたいと要請すると、やっとそれに応じるという状況で、ライドシェアの提言を記者に理解してもらおうという意欲はまったくみえなかった。

 会見の中でも、三木谷氏のドタキャンの理由を説明してほしいとの質問があったが、「急用が用事です」と事務局長が回答しただけだった。

 実はここまでではないが、9月に開催予定だった定例会見も、開催日2日前に急遽(きゅうきょ)取りやめとなっていた。このときも事務局から「三木谷が急用のため中止します」の一点張りで、納得できる理由は説明されなかった。

 そもそも新経連という団体は、三木谷氏が平成22年に立ち上げた「eビジネス推進連合会」をもとに、24年に発足した組織だ。楽天は経団連に加盟していたが、三木谷氏は電力事業について発電と送電、配電を分けるという自身の主張が経団連で支持されず、23年に脱退。その上で経済団体として新経連を発足させた。インターネット産業の振興に向けた政策提言などで、存在感を示すのが狙いだったとみられる。

 しかし、発足当初、800社以上だった会員数は昨年6月段階で521社に減少。そこで同9月に関西支部を今年にも設けることを表明し、会員数拡大に乗り出す考えを示していた。

 一方で昨年7月には、ライバルとなる団体も発足した。ヤフーなどのIT企業から成る「日本IT団体連盟(IT連)」で、コンピュータソフトウェア協会、全国地域情報産業団体連合会、メイド・イン・ジャパン・ソフトウェア&サービス・コンソーシアムなど53団体が加盟。トータルの加盟企業数は約5000社、従業員数は400万人を数え、「日本最大級のIT業界団体」に躍り出た。

 ネット業界からすれば、新経連でなくても、IT連が業界向けの提言を行ってくれれば、発言力は増すとみる向きもある。

 そうした中での三木谷氏の失態ともいえる今回の会見ドタキャン。「完全にビジネスマナー違反。他の経済団体ではありえない」と記者が憤る対応を今後も繰り返せば、新経連の経済団体としての信頼性が傷つくことは間違いないだろう。(経済本部 平尾孝)

最終更新:1/2(月) 11:15

産経新聞