2016年もたくさん本を読んだ。合計で60冊くらいは読んだと思う。今年はハズレが少なかった。
この記事では2016年に読んでよかった本をおすすめ度でランキングにしてみる。
経済書から、小説、写真集、エッセイ、デザイン関連書、マンガまでかなり幅広いジャンルの本をひとつのランキングにまとめた。
科学で解き明かす超常現象
ナショジオが挑む55の謎
ついこの間、ナショナルジオグラフィックから出版されたばかりの本。オカルト的なものに対してはものすごくロマンを感じるが、超常現象はあまり信用していない僕にとっては最高の1冊だった。なにせ、自然や民族を扱う世界で最も権威のある写真雑誌「ナショジオ」が、超常現象を科学的に解明していく本だからである。面白くないはずがない。
この本では、UFOや宇宙人から、伝説のモンスター、古代文明まで、とにかく未解明のテーマを幅広く扱っている。たとえば、バンパイアや雪男なら、いつどのような背景でそれらのモンスターが生まれ、どのように語り継がれてきたのか、その歴史がしっかりと書かれている。他のオカルト本のような根拠の薄い内容はほとんどのっていない。もちろんナショジオの本だから写真はどれも美しい。パラパラとめくっているだけで楽しい。これは、キング・オブ・オカルト本と言ってもよいだろう。オカルト好きには間違いなくおすすめの1冊だ。
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会議をスマートに見せる100の方法
最近、Twitterでも話題になっている会議でのスマートな振る舞いを説く本。
この本面白すぎてどのページから開いても笑えるし、明日から僕もスーパービシネスパースンになれそう pic.twitter.com/bvIuMMbmVM
— みがわり (@interimadd) 2016年12月8日
終始笑いが止まらなかった。これほど残りページ数が減っていくのが惜しいと感じる本にはこれまで出会ったことがない。どのページを開いても「あ〜!これやる人いる〜!」となる。この本にのっている会議ハック術をマスターすれば、間違いなく皆の憧れの的になれるだろう。
ニコラ・テスラ 秘密の告白
エジソンより賢かったと言われることも多い天才発明家 ニコラ・テスラの変態的な自伝。彼のクレイジーな生き方を知るだけでも価値があるが、何よりところどころ挟まれる彼の「未来の構想」や「人間」「社会」「政治」に対する突拍子もない変態的な考察がとてつもなく面白い。もはや、自伝なのか哲学書なのか、オカルト本なのかが分からなくなる程だ。フツウの本を読むのに飽きてきてディープな刺激を求めている人には是非おすすめしたい。
鴻池剛と猫のぽんた ニャアアアン!
こちらはご存知の方も多いはず。Twitterで超有名な漫画家 鴻池剛さんの、愛猫の"ぽんた"との日常を綴ったフルカラー漫画。
【漫画日記】猫が煽ってくるhttps://t.co/cRM8EWuofA pic.twitter.com/MOMuPK0908
— 鴻池 剛 (@TsuyoshiWood) 2016年10月1日
かわいいというよりはシュール。天然のぽんたの行動は予想の斜め上を行き、ぽんたに振り回され続ける鴻池剛さんの喜怒哀楽も最高にシュール。どの話も完成度が高く笑えるのがすごい。続編も出ているようなので、近いうちに読んでみることにする。
新・所得倍増論
オックスフォード大学で日本学を学び、1990年からはアナリスト・文化財の専門家として日本を長年見てきたデービット・アトキンソン氏の本。最近発売されたばかりのようで、ネットでも著者のインタビュー記事、本のレビュー記事をよく見かける。
◯◯の分野で日本は世界◯位!という言葉が大好きな日本人。しかし、そもそもその比べる土俵が間違っているのではないか。日本は未だに欧州諸国に比べて人口が多い。そのため、国としてのGDPや、輸出額は高くなる。しかし、一人あたりの◯◯に直すと、しばしばその順位は急落する。
現状はまだマシだ。深刻な問題は、日本がこれからハイパースーパーウルトラ少子高齢化社会に突入しようとしていること。生産性を上げなければ、日本人は今後貧しくなる一方だ。「ではどうやって生産性を上げていくべきか」という著者が考える対策までしっかりと書かれているのがこの本が素晴らしいところ。
インターフェースデザインの心理学
製品のインターフェースに関わるあらゆる科学的データをまとめている本。そのデータは心理学の範疇に留まらない。人間の視覚がどのように機能して、どのようにモノを認識するのかについて論文データなどを多数引用して幅広く書かれている。また、データを示すだけではなく「だからどうやってデザインをするべきなのか」についてもしっかりと考察が書かれている。高価だがプロダクトデザイナーの方には強くおすすめしたい本。
岩合 光昭 ネコへの恋文
猫の写真といえば 岩合光昭だ。僕は岩合さんの大ファンである。もちろん2015年末に行われた猫写真展も見に行き、隅から隅までじっくり猫を満喫した。岩合さんといえば、日本人としては初めてナショナルジオグラフィックの表紙を飾った超偉大な動物写真家だ。
とにかく岩合さんは猫に愛される。野良猫に近づこうとしてもすぐに逃げられる僕とは正反対で、初対面の子猫が岩合さんの頭の上に登ったりする。きっと彼の身体からは、猫を惹き付けるフェロモンか何かが出ているのだろう。
そんなことはさておき、「ネコへの恋文」は岩合さんのエッセイ付きの写真集だ。エッセイというより猫へのラブレターだ。読んでいると、彼が猫に愛される理由がなんとなく分かってくる。心温まるおすすめの一冊。
人工知能は人間を超えるか
最近メディアに登場することも多い、東大の松尾教授による人工知能についての本。人工知能についての本は何冊か読んだが、これがダントツで良かった。難しい数式は出てこない。人工知能や数学について知識の無い人でも、すらすらと読み進められる。その一方で内容は人工知能の理論にまで及ぶ。図を用いた直感的な説明で、人工知能がどんなものなのかがスッと理解できる。
人工知能の歴史についても、わりと詳しく書かれている。過去にも人工知能ブームは数回あった。そのときにも「あと数年で機械が仕事を…」みたいな主張がなされた。今回もただのブームで終わってしまう可能性はある。
しかし、"過去ブームとなった人工知能"と"今の人工知能"では明確に異なる点がある。ここの解説が僕がこの本を読んで最もハラオチしたところだった。「人工知能により仕事が・・・」と語る前に読んでおくべき本。
夜廻り猫
こちらもTwitterから書籍化された漫画。たしか1年くらい前にこの作者さんのツイッターを見つけて、アップされていたマンガ画像を一気に読み漁った記憶がある。1つの話は、1枚の画像でおさまる程度で完結する。ほとんどの話が、大々的にスポットライトが当たることのない"フツウ"な人たちの日常に焦点を当てていて「こういう生き方もあるよね」「頑張るって素敵なことよね」「あぁ、素直になれないときってあるよね」とうんうん頷きながら読みたくなる。
自信
— 深谷かほる (@fukaya91) 2016年9月20日
2016.9/21の夜廻り猫#今日の夜廻り猫 pic.twitter.com/r8ltzMLAz4
この本に載っているものも、ほとんどがTwitterで読んだことのある話だったが、それでも心から買ったよかったと思える素敵な本。
BRUTUS こんにちは、星野 道夫
僕は何年間もBRUTUSを愛読しているが、その中でも1番気に入っていると言ってもいい号が2016年9月の「星野道夫」特集号だ(キャンプ特集も素晴らしかったが)。BRUTUSの特集は常々センスが良いが、星野道夫を特集してしまうあたり、さすがである。
故 星野道夫は、アラスカに魅了され、アラスカで動物写真を撮り続けた写真家だ。この特集には、彼がどれだけ情熱に溢れており、人を惹き付ける穏やかで柔和な人柄を持ち合わせていたのかが、彼の撮る壮大な写真とともに綴られている。
編集部は、アラスカに住む星野道夫の奥さんに話を聞くために、アラスカまで訪問取材をしたようだ。熱量があり、深みがあり、本棚にずっと置いておきたい素晴らしい特集号。
※ 残念ながら、もう中古でしか手に入れることができないようです。
ツレがうつになりまして
旦那の「うつ」について、かわいいイラストで、面白おかしく描いた漫画。「うつ」の話だけど重くない。気が滅入らない。それでも「うつ」がどんなものなのかよく分かる。この本を読んで恥ずかしながら、はじめて「うつ」がどんな症状なのかを理解できた気がする(本当に理解できているのかは自信がない)。
「うつ」はただの弱気とは違う。こころの風邪ではない。風邪のように寝れば治るものではない。風邪のように薬を飲んで頑張ればなんとかなるものではない。励まされれば元気が出るような、ただの落ち込みとは違う。いざ自分の周りの誰かが「うつ」になってしまったときのために、「うつ」について理解しておくことは、ものすごく大事なのではないだろうか。
とはいえ、繰り返しになるが、読んでこちらまで悲しい気持ちになるような漫画じゃあない。むしろ夫婦愛にほっこりと癒やされて、あぁ普段の何気ない生活が何より愛おしく感じられるような素敵な本なのである。
スペシャルなパッケージデザインを楽しもう
とにかくインスピレーションを刺激される本。思わず手に取りたくなるようなクリエイティブなパッケージデザインがひたすら紹介されている。これはウマイ!友達にプレゼントしたい!と思わずにはいられない素敵なデザインが並んでいて、創作意欲をかきたてられる。高価なので買うのはちょっとハードルが高いかもしれないが、是非本屋に行ったらパラパラとめくってみて頂きたい。超おすすめの一冊。
銀河ヒッチハイクガイド
30年以上前に出版され、世界で1,600万部以上売れたベストセラーSF小説。テスラのCEO イーロン・マスクがおすすめする本ということだったので読んでみた。
読んでみると、とにかくくだらない。地球が取り壊された後の宇宙が舞台という壮大な設定ながら、深刻さが一切感じられない。1分読み進めれば、1つはジョークを見かける、そんな小説だ。この小説が面白いのは、時折ジョークのようで、哲学的で真理をつくかのようなセリフや設定が混じっていることだ。
例えば、この本の中では、地球はただの惑星ではない。宇宙人が「生命、宇宙、そして万物についての究極の疑問の答え」を導き出すためのシミュレーションのために作ったスーパーコンピュータ=地球なのだ。
ちなみに「生命、宇宙、そして万物についての究極の疑問の答え」とGoogleで検索すると「42」という結果が返されるが、これはこの本の内容に基づくものだ。
LIFE 人間が知らない生き方
こちらは、あまり知られていないようなのだが、もっと話題になって良い本だと思う。身近な動物たちの知られざる奇妙でときに残酷な習性をかわいいイラスト(マンガ)と文章で紹介していく本。1ページ読めば2回くらいは「へ〜」と驚かされる。
たとえば、心身ともに強靭そうなゴリラは実は恐怖を感じやすく、ストレスでよく下痢をするとか
ナマケモノは天敵のワシに見つけられてしまった場合、早々とあきらめてせめて痛くないように前身の力を抜くか木から手を離して地面に落下する(このときに骨が折れてしまうことがある)とか
ある種のペンギンは氷の上から海に飛び込む際に、シャチが待ち伏せしていないか確かめるために、最初の一匹を蹴り落とす(そしてその一匹が上がってきたら自分たちも安心して飛び込み、もし運悪くシャチに食べられてしまったときには、しばらくしてからもう1匹蹴り落とすとか)とか。
今すぐ周りに話したくなるような動物雑学が並ぶ素晴らしい名著。
かくかくしかじか
これは名作だった。今年読んだ漫画の中ではダントツのNo.1。ストーリーは、この漫画の作者「東村アキコ」さんの自伝的な内容。この漫画を面白く、心揺さぶりものにしているのは、"先生"の存在だ。芸大受験対策のために通い始めた絵画教室で出会った先生だ。クレイジーで自分勝手ながらも、絵を描くことを誰よりも愛する先生。無名ながらも、絵に人生の全てをかける先生の生き方が、カッコよく、美しく、ドラマチックなのだ。
また、主人公=作者の飾らず、媚びない心理描写にはリアリティーがあって、その分だけ感情移入してしまう。終わり方も最高に良かった。読み終わった後の「いいものを読んだ」感が随一の超おすすめ漫画。
冒険図鑑
今年一衝撃を受けた本。1985年より発売され続けている知る人ぞ知る名著。実家の本棚で見つけて、ペラペラとめくってみたらアドベンチュラスかつ実用的な内容に衝撃を受けた。ページをめくる手とよだれが止まらなくなった。
こういう本を探していた。いや世にこれほどの本が存在しているだなんて、期待していなかった。
この本には、野外生活を楽しむためのありとあらゆる方法がまとめられている。魚の捌き方、食べれる山菜の見分け方、木の実の見分け方、手軽なキャンプ料理の作り方、かまどの作り方、遊び道具の作り方…。言うなれば野外生活の辞書とも言えるような内容だ。もう読んでいるだけで精神年齢が15歳くらい若返ったような気がする。そのくらい子供心と冒険心をくすぐられる。素晴らしい本すぎて、今感想を書いている手が震えている。
無人島に1つだけ持っていくとしたら何?
この本で決まりである。
息子へのクリスマスプレゼントは?
この本しかない。
今年読んだ本の中で圧倒的ダントツハイパーウルトラby far No.1。アウトドア好きの人には心の奥の奥の奥底の深層心理くらいからおすすめしたい本。
2016年も素晴らしい本に出会えた(とくに冒険図鑑)。皆様の本選びの参考になれば幸いです。