投資助言サイトを格付けしたランキングサイトの画面。行政処分を受けた会社のサイトが上位に名を連ねていたが、既にインターネット上から削除されている
インターネット上で「暴騰銘柄」などと虚偽の情報を流した行為が金融商品取引法違反(虚偽告知など)に当たるとして、金融庁は今月、投資助言サイトの運営会社3社を相次いで行政処分した。証券取引等監視委員会によると、3社は虚偽情報を有料で投資家に提供し、うち2社は助言サイトを格付けするサイト側と必ず上位にランクされる契約を結んでいた。監視委はこうした不正が横行しているとみて調べている。【平塚雄太】
監視委の勧告を受け、金融庁は今月2日以降、株マイスター▽Japan Stock Trade▽日本証券投資顧問▽トレーダーズ・ブレイン・マーケット▽常勝トレンド.COM--の各投資助言サイトを運営する東京都内の3社を業務停止1カ月の処分とした。
3社はそれぞれ多い時に1万~4万の個人・法人の無料会員を抱え、虚偽の情報で投資を勧誘。「有益」とした情報を1件ごとに有料で提供し、年間約1億~4.5億円を売り上げていた。情報料は1件につき平均数万円で、中には30万円という例もあったという。
3社のサイトは特定の銘柄について「巨額の資金流入の情報を入手」「暴騰は約束されたようなもの」などとうたっていたが、監視委の調べでは全く裏付けはなかった。「(情報は)専属のプロアナリストが厳選」としながら、実際は日本証券アナリスト協会の認定資格者らがいないケースもあった。
こうした助言サイトを格付けして紹介する複数のランキングサイトでは、処分対象となったサイトが上位に入っていた。監視委によると、金融庁に処分された3社のうち2社については、助言サイト側からランキングサイト側に資金が流れ、客観的な評価とは関係なく必ず上位になる契約が結ばれていた。2社はランキングサイトでも虚偽告知をしたと初めて認定された。
監視委は少なくとも三つのランキングサイトでこうした根拠のない情報が公表されていた疑いがあるとみている。金融商品取引業者ではないため処分の対象外だが、消費者庁に情報提供する。監視委が3社の処分を金融庁に勧告した前後に3サイトではランキングが見直された。
金融取引に詳しい福村武雄弁護士は「高額な料金を取ることで逆に特別な情報と思わせているが、冷静に考えればあり得ない情報とわかるはず。基本的に株式投資は、こうした情報に惑わされずに自己の判断で行うべきだ」と指摘している。
投資助言サイトの虚偽の告知の例
■インサイダー情報をうたった虚偽の告知
・超有力出版社「●●●●」関連人物より「イ●サ●●ー級」の情報を入手!!
・ごく一部の有力メディアが、極秘情報を握っているという実情を、「株3倍銘柄のご獲得」という形でご確認いただけるでしょう。何せ「内部情報」ですから、 その日が来るのはそう遠い未来ではございません
■仕手筋情報をうたった虚偽の告知
・仕手に精通する我々と情報元がつかんだ事実です
・伝説の仕手集団! <●●●●グループ(仮)>の介入情報を入手!
・K氏 最終決戦 最後の般若銘柄 今回入手した最後の「般若銘柄」は今までのK氏銘柄とは“別格”の情報ですので、(略)最優先のご紹介とさせていただきます
■相場操縦をうたった虚偽の告知
・A銘柄株価疑惑に絡む 極秘情報
・我々がつかんだのは、A銘柄と同様の「合法的」な株価操縦が想定される銘柄情報です