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長野北ア北部でイノシシが掘った跡 高山植物の被害を確認
北アルプスの爺ケ岳から岩小屋沢岳にかけての尾根筋(標高約二千四百メートル)に、イノシシが侵入して高山植物の花畑を掘り返している痕跡が、県環境保全研究所(長野市)の調査で確認された。イノシシの北ア北部侵入は二年連続の確認だが、高山植物の掘り返し確認は初めて。一帯にはニホンジカの侵入も相次いでおり、花畑の消失など植生改変が懸念される。 爺ケ岳一帯には、同研究所が二〇一三年から毎夏、七〜十台の赤外線センサーカメラを設置し、野生動物の生息状況を調べている。これまでにシカやニホンザル、キツネ、ツキノワグマなど哺乳類十四種と、ライチョウやヤマドリなど鳥類二十四種を確認した。 同研究所自然環境部の尾関雅章研究員によると、イノシシの侵入を初めて確認したのは昨年。今年も九月にカメラがイノシシを捉え、恒常的に高山帯に侵入している状況を予測させた。十月には花畑が掘り返された痕跡を尾関研究員が確認した。 現場は、爺ケ岳と岩小屋沢岳を結ぶ尾根筋の中間点付近。南側斜面に、ウラジロタデやハクサンボウフウ、タテヤマアザミ、タカネヨモギなどで構成する一ヘクタール余の花畑が広がっており、このうち約四百平方メートル(十メートル×四十メートル)が無残に掘り返されていた。 尾関研究員は「イノシシは花畑を掘り返し、高山植物の根茎やミミズなどを食べたのではないか」と話す。被害は〇九年以降、北ア南部の乗鞍岳で問題化しており、被害は確実に北部へ拡大しているとみられる。
同研究所の堀田昌伸主任研究員は「野生動物の捕獲にも限界がある。動物が侵入しやすい場所、希少種など保護すべき植生が残る地点を早急に特定し、環境省や林野庁など関係機関に伝えていく」と話している。 (野口宏) ◆貴重な植生失う<ニホンライチョウの研究、保護活動を続ける中村浩志・信州大名誉教授の話> 南アルプスや乗鞍岳の掘り返し被害は深刻で、同じことが北アで起きている。野生動物の高山帯侵入を早急に食い止めないと、貴重な植生が失われてしまう。 PR情報
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