オーストリア大統領選ので勝利を祝う左派・緑の党出身のアレクサンダー・ファン・デア・ベレン元党首(中央)=AP
左派のファン・デア・ベレン氏が当選確実に
【ウィーン三木幸治】オーストリア大統領選の決選投票は4日投開票され、難民保護を訴える左派・緑の党出身のアレクサンダー・ファン・デア・ベレン元党首(72)が、難民・移民の排斥を主張した極右・自由党のノルベルト・ホーファー国民議会議員(45)を破り当選が確実になった。オーストリア放送協会が報じた。欧州連合(EU)初となる極右政党出身の大統領誕生は実現しなかった。
同放送によると、開票率60%でファン・デア・ベレン氏の得票率は53.6%、ホーファー氏の得票率は46.4%。AFP通信によると、ホーファー氏側が敗北を認めた。
オーストリアは低い経済成長率や失業率悪化に苦しむ中、今年は既に約3万人以上が難民申請し、国民の反発が強まっていた。だがイスラム教徒「排斥」という極端な主張をするホーファー氏は「国家を分断する」と敬遠され、穏健なファン・デア・ベレン氏が支持された形だ。
国政の実権は首相にあり、国民議会は連立政権を組む中道左派・社会民主党、中道右派・国民党が過半数を握る。選挙戦で両党から支援を受けたファン・デア・ベレン氏は政権と連携して職務を進めるとみられる。