TPP協定が国会承認 関連法も成立

TPP協定が国会承認 関連法も成立
k10010801061_201612091509_201612091511.mp4
TPP=環太平洋パートナーシップ協定は、午後開かれた参議院本会議で採決が行われ、自民・公明両党と日本維新の会などの賛成多数で可決、承認されました。合わせて、関連法も可決、成立しました。
TPP協定の国会承認を求める議案と関連法案は9日午前、参議院の特別委員会で、安倍総理大臣も出席して締めくくりの質疑が行われたあと採決が行われ、賛成多数で可決されました。これを受けて、議案と関連法案は、午後開かれた参議院本会議に緊急上程されました。

本会議の討論で、自民党は「協定は、国内のサービス業、製造業だけでなく、農林水産業も活性化させることができ、わが国の経済成長に大きく資するものだ」と述べました。一方、民進党は「安倍総理大臣は、『TPPは、国家100年の計だ』と言っているが、アメリカのトランプ次期大統領の離脱宣言で発効する可能性はほとんどゼロで、今となっては、全くの独り善がりにすぎない」と述べました。

そして、採決が行われた結果、TPP協定は自民・公明両党と日本維新の会、それに、日本のこころを大切にする党などの賛成多数で可決、承認されました。合わせて関連法も可決、成立しました。

TPP協定には、日本が輸入する農林水産品や工業製品などの95%の品目で関税を撤廃することや、知的財産の保護、投資に関する紛争を解決するための制度など、幅広い分野の貿易や投資などに関するルールが定められています。また、関連法には、協定発効後、牛肉と豚肉の生産者が全体で赤字経営になった場合に、赤字額を補填(ほてん)する制度の拡充などが盛り込まれています。

TPP協定をめぐって日本政府は、アメリカのトランプ次期大統領が協定から離脱する考えを示していることから、「状況は大変厳しいものの、21世紀の新たな貿易ルールになるものだ」としており、発効に向け、アメリカに粘り強く働きかけていく方針です。

関連する法律と手続き

9日にTPP協定の国会承認と合わせて11の関連する改正法を束ねた法律が成立しました。

この中には、牛肉や豚肉の生産者が全体で赤字経営になった場合に赤字額を補填(ほてん)する制度の拡充などを盛り込んだ改正法、牛肉や豚肉などの輸入が急増したときに国内の生産者への影響を抑えるため一定の輸入量を超えれば関税を引き上げる「セーフガード」を発動する手続きを定めた改正法、さらには、小説や音楽などの著作権について、現在は原則、作者の死後「50年間」となっている保護期間を「70年間」に延長する改正法などが含まれています。

ほとんどの法律は、TPPの発効が条件となっているため、当面、施行の見通しは立っていません。政府は9日に国会承認を終えたことを受けて、速やかに必要な政令や省令の改正にとりかかります。そのうえで準備が整えば、協定の締結を再び閣議決定し、来年早々にも協定の取りまとめを担当しているニュージーランドに通知することにしています。

TPP協定めぐる各国の審議状況

TPPに参加する各国の議会承認など国内手続きをめぐる状況です。ニュージーランドは先月、TPPの実施に必要な法律を議会で承認し、参加国で最も早く国内手続きを終えています。また、メキシコとペルーは議会で協定の審議が行われているほか、オーストラリアの議会でもTPPに関する審議が続いています。一方、TPP交渉を主導したアメリカではトランプ次期大統領がTPPから離脱する考えをすでに表明しています。

TPP協定が発効するためには参加12か国全体のGDP=国内総生産のうち85%以上を占める、少なくとも6か国が国内手続きを終える必要があります。このうち、アメリカは1国だけでGDPのおよそ60%を占めるため、アメリカが議会で承認を得られなければ発効することはありません。

一方で、協定発効に期限は設けられていません。このため、日本政府はトランプ次期大統領の政権が発足したあともTPPの発効を目指して働きかけを続けることにしています。