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理系パパの育児学

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ロタウイルスワクチンは任意だけど受けさせたほうがいい?メリットとデメリット説明します。

予防接種

予防接種の任意はどうする?

わが子ムスコスがついに2か月になった。予防接種地獄のデスロードが開幕した。予防接種専門の時間がある小児科医院ならいいけど、一般外来の合間に接種だと風邪をもらいにきてる感が否めない。そして、子供の感染を両親がもらう、親子で免疫をつける修行だ。そこで出てくるのが任意接種。うけてもうけんでも良いけど責任は自己責任な!っていうやつだ。当然ながら自費。慈悲なき自費。この、物入りな時期に手痛い出費。これ、受けさせるべき?医学的に最初の任意であるロタウイルスはどうなのか?気になったので調べてみました。

ロタウイルス感染症って?

ロタウイルス感染症は5歳までにほぼすべての乳幼児が感染する感染症です。子供を育てるうえでありふれた病気ですが、地球規模で考えるとアフリカ、アジアを中心に年間40万人の乳幼児がなくなる病気です。日本でも約50人に1人ロタウイルス感染症で入院していると報告されています。

感染力も強い

ロタウイルス感染症になると便にロタウイルスの粒子が1グラム当たり10000000000個含まれています。この粒子の10個が体内に入ると50%の成人が感染すると報告されているほど感染力は強いです。なので、隔離などだけでは限界のため予防接種が開発されてきました。

ロタウイルスワクチンは経口摂取

ロタウイルスワクチンは、生ワクチンで、経口投与されウイルスが腸管で増殖します。ロタウイルスが腸管で増殖するのでワクチン株の便中への排泄が起こります。ロタウイルスの便への排泄は、接種後1日に始まり,25~28日まで続きます。健常者にうつることはないとされています。

ロタウイルスワクチンの効果

ロタウイルスワクチンは、100力国以上で認可され、すでに少なくとも69力国で定期接種化されています。勘違いしてはいけないのは、ロタウイルスワクチンの目的は、ロタウイルスの感染予防ではありません。ロタウイルスによる重篤な胃腸炎の阻止が目的です。

予防接種を行うことで、オーストラリアでは71%、フィンランドでは91%、アメリカでは69%ロタウイルス腸炎による入院が減ったと報告されています。

ロタウイルスの問題点

これだけ素晴らしい効果を上げているロタウイルスワクチンも問題点があります。それが腸重積が起きやすくなるということです。 腸重積の発症は生後10~12週から急激に増加して、生後24~30週にピークを迎えます。腸重積患者から分離されるウイルスはアデノウイルスが圧倒的に多く、ロタウイルスの自然感染で腸重積が発症するとの説は今のところ否定的とされています。 腸重積発症の頻度は、米国:10万対38、パナ
マ:10万対30、オーストラリア:10万対81、英国:10万対66、デンマーク:10万対71、ベトナム:10万対304と報告されています。ただ、アメリカのデータによるとこのワクチンにて、ロタウイルス腸炎により入院が予防できる人口は約5万人(うち死亡14名)、ワクチンにより発症する腸重積患者が約100名(うち死亡0.5名)と試算されていますのでリスクと利益を天秤にかけると受けさせたほうがメリットはあると感じます。

最後に

知り合いにロタで入院した人がいたこともあり、ワクチンの効果も高いと思うのでうちは受けさせることにしました。

勉強させていただいた論文

【予防接種と感染症の変化】 ロタウイルスワクチンの効果と問題点(解説/特集)
谷口 孝喜(藤田保健衛生大学 医学部ウイルス・寄生虫学講座)
日本小児科医会会報 (0912-1781)49号 Page17-23(2015.0