宇宙輸送船 こうのとり6号機 今夜打ち上げ
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国際宇宙ステーションに物資を届ける日本の宇宙輸送船「こうのとり」の6号機が、9日午後10時すぎに鹿児島県の種子島宇宙センターから打ち上げられます。今回の6号機では、国際宇宙ステーションの新たな主電源に採用された日本製のリチウムイオン電池が送り届けられるほか、「宇宙エレベーター」など将来の夢の技術につなげる実験用の超小型衛星などが搭載されています。
「こうのとり」は、地球の上空400キロ付近の国際宇宙ステーションに物資を補給する日本の無人の宇宙輸送船で、今回の6号機は、水や食料などの生活物資をはじめ、実験機器など、合わせておよそ6トン分の荷物を運びます。
鹿児島県の種子島宇宙センターでは、午前6時に、「こうのとり」6号機を打ち上げるH2Bロケットが組み立て棟から姿を現し、専用の台車で30分ほどかけておよそ400メートル離れた発射場に移されました。
今回の「こうのとり」では、国際宇宙ステーションの新たな主電源として採用された日本製のリチウムイオン電池が送り届けられる予定で、国際宇宙ステーションの基盤となる重要な設備に日本製の機器が取り付けられるのは初めてです。
また、物資を送り届けたあと、「こうのとり」では、使い終わったロケットや人工衛星などの「宇宙ごみ」を取り除くために、日本が開発中の新たな技術の実験にも挑む予定です。さらに、「宇宙エレベーター」など、将来の夢の技術につなげる基礎的な実験を行う衛星など、合わせて7機の超小型衛星が搭載され、7機の衛星は、国際宇宙ステーションから宇宙空間に放出されることになっています。
JAXA=宇宙航空研究開発機構と、打ち上げを行う三菱重工業によりますと、9日の発射場周辺の天候は、おおむね晴れる見込みだということです。
「こうのとり」6号機を載せたH2Bロケットは、このあと燃料の注入など最終的な準備が進められ、機体や天候に問題がなければ、9日午後10時26分に打ち上げられる予定です。
鹿児島県の種子島宇宙センターでは、午前6時に、「こうのとり」6号機を打ち上げるH2Bロケットが組み立て棟から姿を現し、専用の台車で30分ほどかけておよそ400メートル離れた発射場に移されました。
今回の「こうのとり」では、国際宇宙ステーションの新たな主電源として採用された日本製のリチウムイオン電池が送り届けられる予定で、国際宇宙ステーションの基盤となる重要な設備に日本製の機器が取り付けられるのは初めてです。
また、物資を送り届けたあと、「こうのとり」では、使い終わったロケットや人工衛星などの「宇宙ごみ」を取り除くために、日本が開発中の新たな技術の実験にも挑む予定です。さらに、「宇宙エレベーター」など、将来の夢の技術につなげる基礎的な実験を行う衛星など、合わせて7機の超小型衛星が搭載され、7機の衛星は、国際宇宙ステーションから宇宙空間に放出されることになっています。
JAXA=宇宙航空研究開発機構と、打ち上げを行う三菱重工業によりますと、9日の発射場周辺の天候は、おおむね晴れる見込みだということです。
「こうのとり」6号機を載せたH2Bロケットは、このあと燃料の注入など最終的な準備が進められ、機体や天候に問題がなければ、9日午後10時26分に打ち上げられる予定です。
約6トンの物資 世界最大の輸送能力
「こうのとり」は、国際宇宙ステーションに物資を運ぶ日本の宇宙輸送船です。直径4.4メートル、長さ10メートルの円筒形で、一度に最大でおよそ6トンの物資を運ぶことができます。
現在、国際宇宙ステーションに食料や物資を運ぶ役割は、アメリカの「シグナス」と「ドラゴン」、ロシアの「プログレス」、日本の「こうのとり」の合わせて4種類の宇宙輸送船が担っていますが、「こうのとり」の輸送能力はほかの輸送船の2倍から3倍もあり、世界最大です。
「こうのとり」は、7年前の平成21年に1号機が打ち上げられたあと、これまでに合わせて5回打ち上げられ、すべて成功しています。
現在、国際宇宙ステーションに食料や物資を運ぶ役割は、アメリカの「シグナス」と「ドラゴン」、ロシアの「プログレス」、日本の「こうのとり」の合わせて4種類の宇宙輸送船が担っていますが、「こうのとり」の輸送能力はほかの輸送船の2倍から3倍もあり、世界最大です。
「こうのとり」は、7年前の平成21年に1号機が打ち上げられたあと、これまでに合わせて5回打ち上げられ、すべて成功しています。
生活物資や実験装置など輸送
今回、打ち上げられる「こうのとり」の6号機には、国際宇宙ステーションに長期滞在している宇宙飛行士のための水や食料などの生活物資のほか、実験装置など、合わせて5.9トンの荷物が積み込まれています。
このうち、全体の3分の1に当たるおよそ1.9トンは、国際宇宙ステーションの新たな主電源として採用された日本製のリチウムイオン電池です。国際宇宙ステーションの運用は2024年まで4年間、延長されることになりましたが、現在、使用されているアメリカ製のバッテリーの劣化が予想されることから、NASA=アメリカ航空宇宙局は、信頼性の高い電池として日本製のリチウムイオン電池を採用し、取り替えることになりました。
また、宇宙飛行士に届ける水は、ロケットの発射場がある種子島の水道水を宇宙用に処理したもので、今回は、長期滞在している3人の宇宙飛行士の4か月分に当たる、600リットルを搭載しているということです。
このうち、全体の3分の1に当たるおよそ1.9トンは、国際宇宙ステーションの新たな主電源として採用された日本製のリチウムイオン電池です。国際宇宙ステーションの運用は2024年まで4年間、延長されることになりましたが、現在、使用されているアメリカ製のバッテリーの劣化が予想されることから、NASA=アメリカ航空宇宙局は、信頼性の高い電池として日本製のリチウムイオン電池を採用し、取り替えることになりました。
また、宇宙飛行士に届ける水は、ロケットの発射場がある種子島の水道水を宇宙用に処理したもので、今回は、長期滞在している3人の宇宙飛行士の4か月分に当たる、600リットルを搭載しているということです。
超小型衛星 7機搭載
今回の「こうのとり」6号機には、国際宇宙ステーションから宇宙空間に放出される、手で持ち運べるサイズの「超小型衛星」も搭載されています。これまでも「こうのとり」では、3号機以降、毎回、2機から5機の超小型衛星を搭載してきましたが、今回は、これまでで最も多い7機が搭載されています。
大きさが10センチから数十センチほどの「超小型衛星」は、数年前までは、性能が低く、機能も、基礎的な通信や観測などに限られていましたが、最近では、電子部品の小型化や高性能化で、衛星の機能が飛躍的に高まっています。
さらに、コストも安く、開発に必要な時間も短いことから、大学や企業などが、これまでにない、大胆な実験に挑むことができるようになっています。
このため、今回、搭載される「超小型衛星」は、将来の夢の技術、宇宙エレベーターの実現に向けた基礎的な実験を行うものなど、意欲的な挑戦を行うものが多くなっています。
その一方で、衛星の開発費用は、夢の技術に挑みながらも、いずれも、わずか300万円から1000万円ほどに抑えられているということです。
大きさが10センチから数十センチほどの「超小型衛星」は、数年前までは、性能が低く、機能も、基礎的な通信や観測などに限られていましたが、最近では、電子部品の小型化や高性能化で、衛星の機能が飛躍的に高まっています。
さらに、コストも安く、開発に必要な時間も短いことから、大学や企業などが、これまでにない、大胆な実験に挑むことができるようになっています。
このため、今回、搭載される「超小型衛星」は、将来の夢の技術、宇宙エレベーターの実現に向けた基礎的な実験を行うものなど、意欲的な挑戦を行うものが多くなっています。
その一方で、衛星の開発費用は、夢の技術に挑みながらも、いずれも、わずか300万円から1000万円ほどに抑えられているということです。
”夢の技術”実現に向けた実験も
「こうのとり」6号機に搭載される、静岡大学が開発した超小型衛星は、将来の夢の技術、「宇宙エレベーター」の実現に向けた基礎的な実験に挑みます。
この超小型衛星は、1辺が10センチのサイコロ状の機体、2つからなります。2つの機体は、宇宙空間に放出されたあと二手に分かれ、地球の地表面に対して垂直方向に100メートルほど離れます。その際、ふたつの機体の間に釣り糸のような直径0.4ミリの樹脂製のケーブルを伸ばし、ミニチュアの「宇宙エレベーター用のケーブル」を作る計画です。静岡大学のグループでは、宇宙空間でケーブルをうまく伸ばすことができるかや、宇宙空間に伸ばしたケーブルがどのような動きをするか基礎的なデータを集めることにしています。
今回の実験衛星の開発にあたっては、ケーブルの巻き方が大きな課題となりました。ケーブルを平行に巻くと、伸ばす際にうまくほぐれず引っかかるおそれがありましたが、試行錯誤の結果、毛糸玉にならって斜めの方向の巻き方を組み合わせることで、解決できたということです。
ケーブルの巻き方を研究した大学院生の相賀雅紀さんは「何回もケーブルを巻いてやっとのことで完成したので、とてもうれしかったです。宇宙空間で、うまく伸びるか若干の不安もありますが、みんなで頑張って作った衛星なので成功を願っています」と話していました。
また、研究グループの代表を務める山極芳樹教授は「夢の技術、『宇宙エレベーター』の実現に向けて、本当に小さな第一歩ですが、この実験をしっかりと成功させて、さらに研究が進むきっかけとなれるようにしたい」と話していました。
この超小型衛星は、1辺が10センチのサイコロ状の機体、2つからなります。2つの機体は、宇宙空間に放出されたあと二手に分かれ、地球の地表面に対して垂直方向に100メートルほど離れます。その際、ふたつの機体の間に釣り糸のような直径0.4ミリの樹脂製のケーブルを伸ばし、ミニチュアの「宇宙エレベーター用のケーブル」を作る計画です。静岡大学のグループでは、宇宙空間でケーブルをうまく伸ばすことができるかや、宇宙空間に伸ばしたケーブルがどのような動きをするか基礎的なデータを集めることにしています。
今回の実験衛星の開発にあたっては、ケーブルの巻き方が大きな課題となりました。ケーブルを平行に巻くと、伸ばす際にうまくほぐれず引っかかるおそれがありましたが、試行錯誤の結果、毛糸玉にならって斜めの方向の巻き方を組み合わせることで、解決できたということです。
ケーブルの巻き方を研究した大学院生の相賀雅紀さんは「何回もケーブルを巻いてやっとのことで完成したので、とてもうれしかったです。宇宙空間で、うまく伸びるか若干の不安もありますが、みんなで頑張って作った衛星なので成功を願っています」と話していました。
また、研究グループの代表を務める山極芳樹教授は「夢の技術、『宇宙エレベーター』の実現に向けて、本当に小さな第一歩ですが、この実験をしっかりと成功させて、さらに研究が進むきっかけとなれるようにしたい」と話していました。
宇宙エレベーターとは
「宇宙エレベーター」は、地上と宇宙空間との間をケーブルで結び、ケーブルを伝ってゴンドラが地上と宇宙との間を行き来できるようにするという将来の夢の技術です。
日本では、大学などの研究者や大手建設会社などが基礎的な研究を進めています。実現にあたっては、地上から見たときの人工衛星の位置が変わらない高度3万6000キロ付近の「静止軌道」に、宇宙エレベーター専用の宇宙ステーションを建設するという形態が研究者の間で構想されています。この場合、高度3万6000キロまで伸ばしても決して切れることのない極めて高い強度をもちながら、軽くて建設しやすいケーブルの開発などが必要になります。
日本では、大学などの研究者や大手建設会社などが基礎的な研究を進めています。実現にあたっては、地上から見たときの人工衛星の位置が変わらない高度3万6000キロ付近の「静止軌道」に、宇宙エレベーター専用の宇宙ステーションを建設するという形態が研究者の間で構想されています。この場合、高度3万6000キロまで伸ばしても決して切れることのない極めて高い強度をもちながら、軽くて建設しやすいケーブルの開発などが必要になります。