11月18日 14時54分
赤字路線が経営の重荷になっているJR北海道は、路線全体のおよそ半分にあたる13の区間について単独では維持が困難だと正式に発表しました。
JRは、鉄道を維持する場合の費用負担について自治体と協議したい意向ですが、地元の反発も強く、路線の見直しがどこまで進むかが今後の焦点です。
人口減少に伴う利用客の減少などを背景に厳しい経営状況が続くJR北海道は18日、島田修社長が記者会見して赤字路線の見直しについて正式に発表しました。
それによりますと、1キロあたりの1日の平均利用客が200人未満と特に利用が少ない留萌線の深川・留萌間など3つの区間について、「ほかの交通手段の方が適している」として、鉄道を廃止してバスなどに転換することを地元と協議するとしています。
さらに、利用客が2000人未満の路線のうち、宗谷線の名寄・稚内間など8つの区間は、鉄道は維持したいものの単独では費用がまかなえないとして自治体が施設を保有してJRは運行に専念する「上下分離方式」などを含め、費用負担について地元と検討を始めたいとしています。
このほか、すでに廃止が決まっている区間などを合わせると、全路線のおよそ半分に上る13区間、あわせて1200キロについて今後、単独では維持が困難だと位置づけています。
これらの路線の見直しが進めば北海道の鉄道網が大きく姿を変える可能性がありますが、地元の自治体からはバスへの転換や鉄道の維持のための費用負担に対して強い反発が出ていて、実際に見直しがどこまで進むかが今後の焦点です。
記者会見でJR北海道の島田修社長は、赤字路線の見直しの背景として、「国鉄改革から30年が経過しようとする中で急速に進む人口減少と、札幌1極集中などの環境の変化、土木構造物の更新の課題に直面している。安全な鉄道輸送サービスのために構造的な課題と真正面から向き合う必要がある」と述べました。
【“単独維持困難”13区間】
JR北海道が、単独では維持が困難だと位置づけたのは全路線の長さのおよそ半分にあたる13区間、1237キロです。
このうち、「鉄道よりもほかの交通手段の方が適している」として、鉄道を廃止してバスなどに転換することを地元と協議する意向を示したのは1キロあたりの1日の平均利用客が200人未満と特に利用が少ない留萌線の深川・留萌間、学園都市線の北海道医療大学・新十津川間、根室線の富良野・新得間の3つの区間です。
また、鉄道を維持するための枠組みや費用の負担について地元と検討を始めたいとする区間は、利用客が200人以上2000人未満の日高線の苫小牧・鵡川間、宗谷線の名寄・稚内間、花咲線の釧路・根室間、根室線の滝川・富良野間、釧網線の東釧路・網走間、室蘭線の沼ノ端・岩見沢間、富良野線の旭川・富良野間、石北線の新旭川・網走間の8つの区間です。
このほか、石勝線の夕張・新夕張間は廃止が決まっているほか、災害の被害で運休が続く日高線の鵡川・様似間は今後のあり方についての地元との協議がすでに始まっている区間です。
【国交相「国もサポート」】
石井国土交通大臣は閣議のあとの会見で、「JR北海道が地域に対して丁寧に説明を行い厳しい実情について理解を得たうえで、持続可能な交通体系のあり方を沿線の自治体などと一緒に考えることが必要だ。国としては、JR北海道に対して丁寧な説明を促すとともに関係者の話し合いが円滑に進むようサポートしていく」と述べました。
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