トランプ次期大統領の勝利後 移民や黒人への嫌がらせ相次ぐ

アメリカでは、移民などに対する排他的な発言を繰り返してきたトランプ次期大統領が選挙で勝利して以降、移民や黒人などに対する脅迫行為や嫌がらせが相次いでいて、人種差別意識の高まりが懸念されています。
アメリカでは、今月8日に投票が行われた大統領選挙で、トランプ氏が勝利して以降、トランプ氏を支持する市民や学生による差別的な言動が相次いで確認され、メディアが大きく取り上げています。
こうした中、白人至上主義団体などを監視するアメリカの民間団体は15日、トランプ氏が勝利して以降、全米で差別に基づく脅迫行為や嫌がらせの報告が相次ぎ、およそ1週間で437件に上ったことを明らかにしました。
脅迫行為などの主な標的となっているのは移民や黒人で、こうした行為が最も多く確認されたのが学校だったということです。
この団体では、移民などに対して差別的な発言を繰り返してきたトランプ氏が勝利したことで、アメリカ国内で白人至上主義などの差別意識が高まる可能性があると指摘しています。
こうした言動についてトランプ氏は、今月13日に放送されたテレビのインタビューで、「非常に悲しいことだ。やめてほしい」と述べ、国民に自制を呼びかけていて、事態が収束に向かうのか注目されます。

メディアが大きく報道

アメリカ大統領選挙のあと、移民や黒人など、社会の少数派=マイノリティーに対する差別的な言動や嫌がらせはアメリカ各地で起きていて、メディアが大きく取り上げています。
このうち、東部メリーランド州では12日、移民が多く通う教会にあるスペイン語の看板などに「トランプの国。白人以外お断り」という落書きが見つかりました。
また、トランプ次期大統領が勝利した9日には、中西部ミシガン州のデトロイトの近郊にある中学校の食堂で、大勢の生徒たちが「壁を築け、壁を築け」とかけ声を上げる映像が、インターネット上に掲載されました。
トランプ次期大統領が不法移民の入国を防ぐため「メキシコとの国境に壁を築く」と主張していることに触発されたと見られ、アメリカのメディアは、映像は生徒の携帯電話のカメラで撮影され、かけ声の最中、ヒスパニック系の複数の生徒が泣いていたと伝えています。
また、東部ペンシルベニア州では10日、職業訓練校で白人の生徒たちがトランプ次期大統領が選挙戦で使ったポスターを掲げながら廊下を歩き、白人至上主義者たちが使う「ホワイト・パワー」というかけ声を発する様子を撮影した映像がインターネット上に掲載されました。