美浜原発3号機の運転期間延長認める 原子力規制委

美浜原発3号機の運転期間延長認める 原子力規制委
k10010771081_201611161218_201611161219.mp4
ことし運転開始から40年になる福井県の美浜原子力発電所3号機について、原子力規制委員会は、関西電力が行った施設の劣化状況の評価結果を妥当として、運転期間の延長を認めました。原発事故後に導入された運転期間を原則40年に制限する制度の下、延長が認められるのは高浜原発に次いで2か所目です。
運転延長の申請が出されている美浜原発3号機について、原子力規制委員会は、これまでに、地震対策や古い原発特有の課題になっている電気ケーブルの防火対策などが新しい規制基準に適合していると認め、設備の耐震性など詳しい設計を記した「工事計画」を認可しています。

16日の会合では、許認可で残されていた施設の劣化状況を評価する「運転期間延長認可」について議論が行われ、美浜原発3号機の場合、運転開始から60年たった場合も配管や電気ケーブルは健全性の基準を満たすと評価されていることなどが報告されました。

委員らは、平成16年に3号機の運転中に劣化した配管が破損し、高温の水蒸気が吹き出して作業員が死亡した事故を踏まえて、「美浜原発だけの問題ではないが、今後も規定に沿って劣化状況を確認してほしい」などと求めていました。

このほか委員から異論は出ず、最長20年の延長を全会一致で認めました。

これで美浜原発3号機は期限の今月末までに必要な許認可がすべて得られたことになり、最長の運転期間は2036年11月までとなります。

原発事故のあと導入された運転期間を原則40年に制限する制度の下では、同じ福井県にある高浜原発1号機と2号機に次いで2か所目になります。

実際の再稼働には安全対策の追加工事などを終える必要があり、関西電力は平成32年3月以降になるとしています。

美浜町長「町民にしっかり説明を」

美浜原発3号機の運転延長が認められたことについて地元・美浜町の山口治太郎町長は「原発で想定される地震の揺れが非常に大きいのでそれをクリアしないといけないが、関西電力には対策工事を確実にやってほしい。再稼働に向けては町民にしっかり説明し、理解を求めてほしい」と述べました。

規制委のビル前では抗議活動

美浜原発3号機の運転延長が認可されたことを受けて原子力規制委員会が入る東京・港区のビルの前には、原発の再稼働に反対する人たちが集まり、「美浜3号機を廃炉に」などと書かれた紙を掲げながら、「老朽原発は直ちに廃炉すべきだ」とか「60年延長は許さない」などと訴えていました。
東京・練馬区の66歳の女性は、「40年をすぎた老朽原発が稼働するのは危険で、事故が起きたら大変だと思う。とても不安で、やめてほしい」と話していました。
東京・八王子市の68歳の男性は「電気が足りている中、どうして古い原発を動かす必要があるのか、わからない。すぐに廃炉にすべきだと思う。原発が安全でないことは福島第一原発の事故ではっきりしていて、規制委員会は再稼働を推進する組織になっている」と話していました。