池田修一・信州大教授(脳神経内科)ら厚生労働省研究班による子宮頸(けい)がんワクチンの影響に関する研究で不正が指摘されていた問題で、同大の調査委員会は15日、「不正行為は認められなかった」との結論を公表した。
ただし、予備的な実験結果を断定的に表現したことなどは問題だったとして、発表内容の修正と再実験結果の公表を求めた。同大は関わった池田教授ら3人を厳重注意とした。
外部から不正通報があったのは、3月に池田教授が厚労省内で発表したマウス実験。ワクチン接種が脳組織に影響を及ぼす可能性を示唆するとの内容だった。調査委による実験では同じ結果は得られなかったが、研究班の実験にデータ捏造(ねつぞう)や改ざんは確認されなかったという。
研究班は同じ日に、患者の免疫に関わる遺伝子型の分析結果も発表したが、この内容は調査対象になっていない。池田教授は代理人弁護士を通じ「大変安堵(あんど)した。引き続き診療に全力を注ぎたい」とのコメントを出した。【山田泰蔵】