比嘉照夫琉大名誉教授が朝日新聞を訴えた裁判の控訴審判決(控訴棄却)
ブログ更新ができなくてすみません。
この土日は、明治大学中野キャンパスでの情報ネットワーク法学会研究大会に参加して、私自身も「位置情報サービスとソーシャルゲームの法的問題」などという分科会で登壇してまいりました。要するにポケモンGOです(苦笑)
そして、昨日月曜の夜は、京都産業大学の消費者法研究会と消費者ネット関西の共同企画で、 「『健康食品』ウソ・ホント」(講談社ブルーバックス)の著者としても有名な高橋久仁子先生の講演会に参加してきました。ハードスケジュールでしたが、どちらも大変勉強になりました。
さて、比嘉照夫琉球大学名誉教授が、「EM菌」に関する朝日新聞の記事に対して、著作権侵害であるうえ、不法行為に当たるとして、損害賠償や謝罪広告を求めていた裁判の一審東京地裁判決(請求棄却)については、当ブログで紹介しました。
→ 「いわゆるEM菌に関する記事が著作権侵害等に当たるとして朝日新聞を訴えた裁判の判決」(2016/5/11)
この判決に対して、比嘉教授が控訴していたわけですが、それからちょうど半年経過した先日(11/10)に東京高裁で控訴審判決が出ました。結果は、比嘉教授の控訴は認められず、控訴棄却となりました。
この知財高裁は、要するに、著作権に関しては、比嘉教授のブログ記事と朝日新聞記事とが共通するのは、「重力波と想定される」、「波動による(もの)」との部分であるが、これは著作物性は認められないので、著作権(複製権、同一性保持権、著作者人格権)侵害とはならない、という点と、比嘉教授の「朝日新聞が比嘉教授を取材せずに記事を掲載したのは不法行為」という主張に対して、「朝日新聞記者行動基準」に抵触しうる行為であり、慎重な配慮に欠ける、とは認めたものの、それは社内の自律的処理の対象となることは別として、「その態様,記事の内容及び趣旨,控訴人の学者としての社会的地位,本件記事1及び2の掲載により負うこととなった控訴人の負担等を総合考慮すると,本件記事1及び2の掲載行為により控訴人の被った精神的苦痛が社会通念上受忍すべき限度を超えるとまではいい難く,これを不法行為法上違法なものであるということはできない。」としました。
基本的には、一審東京地裁判決と同様の判断を下したものといえると思います。
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