人工知能技術のビジネス活用をアピール 米IBM

人工知能技術のビジネス活用をアピール 米IBM
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人工知能をめぐって大手IT企業の主導権争いが激しくなるなか、アメリカのIBMは、自社で開発した人工知能の技術が各国のビジネスの現場で活用されていることをアピールするイベントを開きました。
IBMがアメリカのラスベガスで開いたイベントには世界の企業およそ120社が参加し、IBMの人工知能「ワトソン」をビジネスに活用している事例を紹介しました。

このうちホンダは、コールセンターに寄せられた意見や苦情などを人工知能が分析して問題点を整理し、品質改善に役立てていることを報告しました。
また、アメリカの気象サービス会社のブースでは、世界中の20万に上る観測地点で集めたデータを人工知能によって予報に生かしている例が紹介されていました。

このほか、人の味覚のデータをもとに人工知能がレシピを作った、ビールとヨーグルトなどを掛け合わせたチョコレートや、人工知能がデザインしたドレスも披露され、訪れた人の関心を集めていました。

人工知能をめぐっては、アメリカの大手IT企業のグーグルやフェイスブックも自社で開発した技術を無償で公開して、企業に利用を呼びかけており、主導権争いが激しさを増しています。

ワトソン 得意分野と導入の効果は

IBMのAI「ワトソン」は、言語を理解し、学習する技術を得意としています。2011年にはアメリカのクイズ番組で人間のチャンピオンを破り、その技術の高さを披露しました。
ワトソンは膨大なデータを瞬時に読み込む高い能力を備え、1秒間に8億ページ分の文字を読むことができるということです。日本では東京大学医科学研究所が導入して、医学論文を学習したワトソンが、専門の医師でも診断が難しいとされていた特殊な白血病を見抜く成果を挙げるなど、医療分野でも活用が広がっています。

IBMは、ワトソンを使ったビジネスの戦略についても明確な方針を掲げています。研究機関や企業向けにシステムとして積極的に販売し、導入した企業は、自社でAIを開発する手間やコストを省き、その効果を出すことができることを売りにしています。

IBMによりますと、ワトソンのシステムを導入した企業は、これまで全世界で数千社に上るということです。

IBM「人工知能は倫理的に正しく利用を」

IBMで人工知能事業を担当するデビッド・ケニーゼネラルマネージャーは、NHKの取材に対し、「人工知能は新たに生み出される膨大なデータを素早く学んで人間を支援し、さまざまな問題を迅速に効果的に解決するものだ」と述べました。
そのうえで、IBMがグーグルやフェイスブックなどと、先月、人工知能に関する団体を設立したことに触れたうえで、「とても大きな力がある人工知能は、使い方を理解し慎重に扱わなくてはならない。各社が倫理的に正しく利用することが重要だ」と述べて、兵器の開発などといった危険な利用をされないよう、業界で協力していく考えを示しました。